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伝え方が悪いと逆効果! Webで自社技術に興味を持ってもらうための戦術間違いだらけの製造業デジタルマーケティング(5)(1/4 ページ)

コロナ禍で製造業のマーケティング手法もデジタルシフトが加速した。だが、業界の事情に合わせたデジタルマーケティングを実践できている企業はそう多くない。本連載では「製造業のための正しいデジタルマーケティング知識」を伝えていく。第5回のテーマは「興味を持ってもらうための技術情報の伝え方」だ。

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 技術系の企業がWebマーケティングで成功を収めるためには、最低限2つの要素を理解しておく必要がある。1つは自社の知名度を上げることだ。これによりWebサイトへの訪問者数を増やせる。もう1つは顧客が自社技術をより深く理解できるようにすることで、リード生成数や問い合わせ数を増えす効果が期待できる。

 特に後者は重要で、たとえアクセス数が増えたとしても、自社技術の魅力を正確に伝えられなければ問い合わせ数は伸びない。しかし、この「技術の魅力を伝える」というのは非常に難しい。一方的に技術情報を伝えるだけでは魅力が伝わらないどころか、興味すら持ってもらえないこともある。さらに、伝え方が悪いと他社の技術とあまり変わらないと思われかねない。

 今回は事例も紹介しながら、技術情報の良い伝え方を紹介する。

閲覧者が何の情報を求めているか

 まずは技術の魅力の伝え方について、悪い例と良い例を紹介する。今回は想定事例として、めっき会社が、自社のめっき技術であるPTFEめっき(テフロン無電解ニッケルめっき)の魅力を他社に伝える場合を取り上げた。

悪い例

「PTFEめっきは、非粘着性や耐摩耗性に優れた特性を持っています。これは、ポリテトラフルオロエチレンというポリマーを基材の表面に塗布することで実現されます。PTFEめっきは、さまざまな産業分野で使用されます」

 この例の問題点は、PTFEめっきの技術に関する詳細がほとんど記述されていないことだ。具体的なプロセスや応用例の説明が不足しており、閲覧者がPTFEめっきの詳細や重要性を理解することが難しくなっている。

良い例

 「PTFEめっきは、非粘着性や耐摩耗性に優れためっき技術です。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)というポリマーが基材の表面にめっきされ、特殊な特性が形成されます。

 PTFEめっきは、さまざまな産業分野で幅広く応用されています。非粘着性のため、食品加工業界や医療機器などの分野で衛生的な状態の維持に活用されています。耐摩耗性が高く、機械部品や機械加工部品の寿命を延ばし、メンテナンスの頻度を減らすことができます。また、耐化学薬品性もあり、腐食や化学的変化に対する保護効果があります。

 応用例の1つとして、調理器具の内部にPTFEめっきを施すことが挙げられます。これにより、フライパンなどの表面は非粘着性が高まり、食材のくっつきにくさが実現されます。また、自動車部品の摺動面にもPTFEめっきが使用されます。摩擦や摩耗を軽減し、部品の寿命を延ばす効果があります。

 このように、PTFEめっきの技術を伝えたければ、閲覧者がPTFEめっきの特性や応用例を具体的に理解できるようにすべきだ。特性や応用例の説明に加えて、プロセスの概要や手順、利点についても解説することで、閲覧者がより深く理解できるようになる。これはあくまでも一例だが、こちらが伝えたい内容だけではなく、閲覧者が何を求めているかを想定して文章を作ることが大切だ。

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