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「バイオものづくり」の実証拠点が完成、日本発のプラットフォーマーに向けて研究開発の最前線(1/2 ページ)

NEDOは、Green Earth Institute(GEI)が2021年度から千葉県茂原市に建設を進めていた「バイオものづくり」の推進拠点「バイオファウンドリ研究所」を報道陣に公開した。

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 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2023年6月2日、Green Earth Institute(GEI)が2021年度から建設を進めていたバイオ生産実証を推進する拠点「バイオファウンドリ研究所」(千葉県茂原市)の落成式を行うとともに報道陣に施設を公開した。

 従来の化学プロセスに比べ省エネルギーかつ低コストで、植物や微生物などのバイオマス資源から生物を用いて物質を生産できる技術である「バイオものづくり」について、研究室レベルのスケールで開発したスマートセルを最大3000l(リットル)の発酵槽までスケールアップして検証できる場として同研究所を活用していく。初年度は、バイオ生産実証を行う企業や大学、研究機関などを募集し、2〜4件の共同研究を進める計画である。

バイオファウンドリ研究所の中核施設となる試製室の全景
バイオファウンドリ研究所の中核施設となる試製室の全景。300lと3000lの発酵槽があり、スケールアップ実証や試験生産が可能だ 出所:NEDO

 落成式には、GEI 代表取締役 CEOの伊原智人氏、NEDO 理事の西村知康氏、バイオものづくりプロジェクトのプロジェクトリーダーを務める千葉大学 名誉教授の関実氏の他、経済産業省 商務・サービス審議官の茂木正氏、三井化学 常務執行役員 研究開発本部長の柴田真吾氏が登壇した。GEIの伊原氏は「当社の目標はバイオものづくりのプラットフォーマーとなることだ。バイオファウンドリ研究所が完成した今日を起点に、日本のバイオものづくりをしっかり前に進めていきたい」と語る。

バイオファウンドリ研究所の落成式の様子
バイオファウンドリ研究所の落成式の様子。左から、三井化学 常務執行役員 研究開発本部長の柴田真吾氏、NEDO 理事の西村知康氏、経済産業省 商務・サービス審議官の茂木正氏、千葉大学 名誉教授の関実氏、GEI 代表取締役 CEOの伊原智人氏[クリックで拡大]

 また、経済産業省の茂木氏は「2023年度の骨太の方針に“バイオものづくり”という言葉が多く出てくるように、日本政府としてもバイオものづくりに注力している。中長期の観点でもしっかりと支援していきたい」と述べ、三井化学の柴田氏も「バイオものづくりにおいて茂原ありといわれるように、三井化学としても最大限尽力していきたい」と強調した。

 日本政府は「バイオ戦略2020」に従い、2030年に世界最先端のバイオエコノミー社会を実現するためのさまざまな取り組みを進めている。中でもバイオモノづくりは、原料から最終製品に至る過程に存在するバイオマス資源の原料化や、スケールアップの技術的/コスト的な難しさなどから実用化に至らないケースが数多くあるなど、実用化に向けた課題が指摘されている。また、現状のバイオモノづくりに関わる生産技術は現場担当者の経験や知見に基づいており、製造拠点の海外移転や熟練担当者の高齢化に伴い、自動化や技術の継承も求められている。

 NEDOのバイオものづくりプロジェクトでは、バイオものづくりに向けた培養検討/受託製造などを可能とするバイオファウンドリの拠点形成やバイオものづくり人材の育成などを行っている。バイオファウンドリ研究所は、その名の通りバイオファウンドリに向けた中核拠点となるだけでなく、人材育成の拠点としても活用される予定だ。

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