StratasysとDesktop Metalが合併、業界最大規模のAM企業誕生へ:3Dプリンタニュース
ストラタシスとデスクトップメタルは、約18億ドルの全株式取引を行う最終合意を締結し、合併することを発表した。取引完了は2023年第4四半期を予定。これにより、設計から量産まで、ポリマー、金属、砂、セラミックスのソリューションを提供する積層造形会社が誕生する。
Stratasys(ストラタシス)とDesktop Metal(デスクトップメタル)は2023年5月25日(現地時間)、約18億ドル(約2534億円)の全株式取引を行う最終合意を締結し、合併することを発表した。取引完了は2023年第4四半期を予定。これにより、設計から量産まで、工業用ポリマー、金属、砂、セラミックスのソリューションを提供する積層造形(AM:アディティブマニュファクチャリング)会社が誕生する。
両社の取締役会で全会一致で承認された契約条件に基づき、Desktop Metalの株主はクラスA普通株式1株に付き、Stratasysの普通株式0.123株を受け取ることになる。取引完了後、合併後の会社の株式のうち59%をStratasysが、残りの41%をDesktop Metalが保有することになる。
合併後の会社では、Stratasys CEO(最高経営責任者)のYoav Zeif(ヨアブ・ザイーフ)氏がCEOに、Desktop Metalの共同創設者兼会長兼CEOのRic Fulop(リック・フロップ)氏が取締役会長に就任。また、Stratasys 会長のDov Offerer(ダヴ・オファラー)氏が筆頭独立取締役に着任する。取締役会は11人のメンバーで構成され、そのうち5人がStratasysによって、同じく5人がDesktop Metalによって選出され、残り1人をCEOのザイーフ氏が務める。
今回の合併により、両社の積層造形プラットフォーム製品が統合され、複数の積層造形技術とソリューションを、幅広い製品ポートフォリオで展開可能となる。また、製造ライフサイクル全体にわたって、設計、試作、ツーリングから量産、アフターマーケットに至るまでのエンドツーエンドのソリューションを顧客に提供していく。
さらに、両社の合併によって、3400件を超える特許および出願中の特許を含む補完的なIP(知的財産)ポートフォリオが統合される。併せて、研究開発チームとエンジニアリングチームは業界最大規模の800人超の体制となり、材料ライブラリ全体でイノベーション創出を推進していくという。
合併後の会社における2025年までの収益目標は11億ドル(約1548億円)。今後のターゲット市場の成長も著しく、2032年までに1000億ドル(約14兆714億円)を超える市場規模になる可能性があるという。合併後の顧客数は2万7000社以上になり、大規模な顧客基盤による消耗品からの大幅な収益も見込む。
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