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ジェネレーティブデザインで実現するサステナブル設計とその可能性サステナブル設計とデジタルモノづくり(2)(1/3 ページ)

地球環境に配慮したモノづくりの実践はあらゆる企業に課せられた重要なテーマの1つだ。本連載では、サステナブル設計の実現に欠かせないデジタルモノづくりにフォーカスし、活用の方向性や必要な考え方などについて伝授する。連載第2回は「ジェネレーティブデザイン」の活用をテーマに、サステナブル設計との関連性や得られる効果などを取り上げる。

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 前回は、サステナブル設計デジタルモノづくりとの関連性について解説しました。今回は、近年、モノづくりの世界や製造業で注目されている「ジェネレーティブデザイン」とサステナブル設計との関連性について説明します。ジェネレーティブデザインの概念やメリット、操作感、今後の可能性などを紹介します。

⇒ 連載バックナンバーはこちら

ジェネレーティブデザインとは?

 ジェネレーティブデザインは、近年多くの3D CADベンダーが提供しはじめている新たな設計機能/設計手法のことで、ユーザーが入力した条件などを基に、コンピュータが合致する形状を計算し、最適な形状案を設計者に提供してくれるものです。3D CADの種類によってジェネレーティブデザインの定義や機能は多少異なりますが、おおむねそのような機能であると覚えておいてください。

 また、ジェネレーティブデザインで入力する条件はさまざまで、設計上の制約、空間条件、荷重、拘束、材料、製造方法などがあります。入力した条件を基に最適だと考えられる形状をコンピュータが提案してくれます。

 もともと「CAD」は“Computer Aided Design”を略したもので、日本語に直訳すると「設計を支援するコンピュータ」となりますが、ジェネレーティブデザインは、まさにコンピュータで設計を支援してくれる機能だといえます。

 ジェネレーティブデザインの登場により、3D CADは単なるツールではなく、設計者のパートナーにもなり得ます。もちろん、計算リソースや処理時間、精度など、さらなる進化や改善の余地を残した部分もありますが、新たな形状の検討やアイデアを立案する際に、設計者の助けになることは間違いないでしょう。

ジェネレーティブデザインの作業の流れ

 ジェネレーティブデザインの機能が提供されている3D CADが登場してから、しばらく経過していますが、まだ触ったことのない設計者の方も多くおられることでしょう。そこで、「百聞は一見にしかず」ということで、筆者が保有するオートデスクの「Fusion 360」のジェネレーティブデザイン機能を使って、実際の作業の流れを簡単に紹介します。

 Fusion 360のジェネレーティブデザインでは、設計に求められる必要最低限の形状を用意し、荷重や拘束、目的、製造方法、材料などの設計仕様を入力すると、その条件を満たした多数の設計案を自動生成してくれます。

 今回は「椅子」を題材に、ジェネレーティブデザインの作業の流れを説明していきます。

オートデスク「Fusion 360」のジェンレーティブデザイン機能の画面イメージ
図1 オートデスク「Fusion 360」のジェンレーティブデザイン機能の画面イメージ[クリックで拡大]

1.デザインスペース

 まずは、椅子の機能として最低限必要な形状(保持ジオメトリ)と、形状を生成させない領域(障害物ジオメトリ)などのデザインスペースを設定します。

 保持ジオメトリとして、椅子の脚、座面、背もたれ、肘掛け部分の3Dモデルを用意して設定します。設定したジオメトリは緑色になります。地面と人が座るスペースを障害物ジオメトリとして設定します。設定した障害物ジオメトリは赤色になります。その他、今回は設定しませんが形状を生成する開始形状を設定することも可能です。

椅子のデザインスペースを設定している様子
図2 椅子のデザインスペースを設定している様子[クリックで拡大]

2.荷重と拘束

 次に、荷重拘束を定義します。座面と背もたれ、肘掛けに荷重を定義し、脚に固定拘束、さらに今回は重力も定義しました。

椅子に荷重と拘束を設定している様子
図3 椅子に荷重と拘束を設定している様子[クリックで拡大]

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