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ジェネレーティブデザインで実現するサステナブル設計とその可能性サステナブル設計とデジタルモノづくり(2)(3/3 ページ)

地球環境に配慮したモノづくりの実践はあらゆる企業に課せられた重要なテーマの1つだ。本連載では、サステナブル設計の実現に欠かせないデジタルモノづくりにフォーカスし、活用の方向性や必要な考え方などについて伝授する。連載第2回は「ジェネレーティブデザイン」の活用をテーマに、サステナブル設計との関連性や得られる効果などを取り上げる。

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ジェネレーティブデザインとサステナブル設計

 ジェネレーティブデザインは、設計者が要求する製品性能を達成しながら、劇的な軽量化を実現できます。材料使用量を削減でき、サステナブルなモノづくりにつながります。使用する材料が減らせることで、コスト削減にも貢献でき、廃棄する際のゴミの量も低減可能となります。

 そして、軽量化に伴う直接的なサステナビリティのメリットとコスト削減に加え、軽量化によるエネルギー効率の向上も期待できます。自動車や航空機などの開発で、ジェネレーティブデザインを適用した部品(パーツ)がよく採用されているのは、このような理由があるからです。

 ジェネレーティブデザインを使用すると、複数部品が組み合わされた構成部品(ユニット)を、1つの部品に統合することも可能です。使用する材料の量を減らすだけでなく、組み立て作業を減らすことにより、製造プロセス全体を簡略化できます。さらに、部品の統合により、在庫管理やサプライチェーンの合理化にもつながります。

 また、材料の選択は、製品の持続可能性に直接影響します。ジェネレーティブデザインを使用することで、設計者は異なる材料を検討して、最適に機能し、より持続可能な材料を選択できます。

 ジェネレーティブデザインは、さまざまな製造プロセスを検討する上で役立ちますが、3Dプリンタでの製造と組み合わせた活用の検討が特に盛んに行われています。

 3Dプリンティング技術の特性を最大限に引き出すためには、「DfAM(Design for Additive Manufacturing)」と呼ばれる設計の考え方に関するノウハウも不可欠です。例えば、3Dプリンタを使用することで、必要な部分のみを残して他はラティス構造にするなど、内部の構造をより軽くするような複雑な形状の設計が可能となり、設計の自由度も確保できます。

ジェネレーティブデザインで生成された椅子などをミニチュアサイズで3Dプリントしたサンプル品
図9 ジェネレーティブデザインで生成された椅子などをミニチュアサイズで3Dプリントしたサンプル品[クリックで拡大]

今回のまとめ

 ジェネレーティブデザインは、単に設計者が思い付かないような革新的な形状や設計案を導き出せるだけでなく、製品や部品の軽量化、ユニットの統合、異なる材料や製造方法などの検討を行う機会を得ることができ、設計においてさまざまなメリットを見いだせます。そして、サステナビリティだけでなく、製造コストを含めた収益性やエネルギー効率の目標も達成できるのです。

 一方で、ジェネレーティブデザインが提案してくれる形状が必ずしもデザイン性や使いやすさに優れているとは限りません。軽量化や耐久性の要件は満たしていても、デザインとしての魅力や使い勝手が不十分な結果が得られる可能性もあり得ます。そのため、設計者はジェネレーティブデザインから生成された形状を、正しく比較検討できる能力が必要となります。

 ジェネレーティブデザインは、さまざまな形状を設計者に提案してくれますが、最後に決定するのは人間です。そして、その提案に基づいて、設計者は新たな自分なりの設計案を考え、これまでにない新たな構造を検討するなど、その先の創造的な作業につなげていくことが重要となります。

 また、ジェネレーティブデザインが形状案を考えてくれている間に、設計者は、市場調査や機能設計などにより時間をかけられますし、より良い製品を設計するための重要度の高い業務に時間を割くこともできるでしょう。設計段階で、その製品の性能やコストの大部分が決まってきます。それを決定する上で、ジェネレーティブデザインは非常に有効なツールになり得ます。

 これからの設計者は、今まで以上に環境に配慮しながら、革新的なモノづくりに挑戦していかなければなりません。これを機に、ジェネレーティブデザインを活用したサステナブル設計に取り組んでみてはいかがでしょうか。 (次回へ続く

⇒ 連載バックナンバーはこちら

筆者プロフィール

小原照記(おばら てるき)

いわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、3次元設計能力検定協会の理事も務める。3D CADを中心とした講習会を小学生から大人まで幅広い世代の人に行い、3Dデータを活用できる人材を増やす活動をしている。また企業の困り事に対し、デジタルツールを使って支援している。人は宝、財産であると考え、時代に対応する、即戦力になれる人財、また、時代を創るプロフェッショナルな人財の育成を目指している。優秀な人財がいるところには、仕事が集まり、人が集まって、より魅力ある街になっていくと考えて地方でもできること、地方だからできることを考えて日々活動している。


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