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エコカー向け無方向性電磁鋼板製造に900億円を追加投資、生産能力を約5倍に:工場ニュース
日本製鉄は、ハイグレード無方向性電磁鋼板の能力増強に向けて追加投資を実施する。瀬戸内製鉄所阪神地区と九州製鉄所八幡地区を対象に900億円を投資し、エコカー向け無方向性電磁鋼板の生産能力を現在の約5倍に引き上げる。
日本製鉄は2023年5月10日、ハイグレード無方向性電磁鋼板(NO)の能力増強に向けた追加投資を発表した。瀬戸内製鉄所阪神地区(大阪府堺市)と九州製鉄所八幡地区(福岡県北九州市)を対象に900億円を投資し、エコカー向けNOの生産能力を2027年上期に現行の約5倍に引き上げる予定だ。
同社はこれまで、NOの能力および品質向上対策として、瀬戸内製鉄所広畑地区(兵庫県姫路市)と九州製鉄所八幡地区に対し、2019年から逐次、投資を続けてきた。これらに加えて今回、瀬戸内製鉄所阪神地区と九州製鉄所八幡地区の能力増強対策を実施する。
900億円を投資し、両地区で酸洗や冷間圧延、焼鈍などのNO設備を増強する。追加投資を含めた投資額は、累計で約2130億円になる。
あらゆる方向に磁気特性を有するNOは、ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)のモーターの鉄心として使用されている。自動車のCO2排出規制や平均燃費規制の厳格化でエコカーの生産が増加しており、NOについても需要増加が見込まれる。同社は今回の投資により、高効率なハイグレードNOの安定的な供給を目指すとしている。
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