検索
連載

「床が灰皿」だった昔ながらの金型屋が、キッチリ整理の工場に変わった理由ワクワクを原動力に! ものづくりなヒト探訪記(4)(5/6 ページ)

本連載では、厳しい環境が続く中で伝統を受け継ぎつつ、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。今回はプレス金型を製造している飯ヶ谷製作所を取材しました。

Share
Tweet
LINE
Hatena

自力でクレーンを作成、取り付けで作業を楽に

――金型や部品など、中には重い物を持ったり動かしたりすることがあると思います。何か工夫していることはありますか?

美雪さん 倉庫に金型や部品を保管しているのですが、金属の塊ですから中には何十kgにも上る部品もあり、棚の上の方にしまわれていると取り出すのがものすごく大変でした。そこに、夫がクレーンを取り付けてくれたので、重い物を運ぶ作業が格段に楽になりました。私1人でも作業することができるようになり、効率も上がったと思います。

智さん 「楽できるところは楽をする」という考え方は、常日頃から持っています。作業する人が男性でも女性でも、機械に頼れるとこは頼って負担を軽くしたいですし、その方が安全なんです。ものすごく高額な設備の導入は難しいですが、できる範囲の中で導入できるものはしていきたいと思っています。


倉庫の様子。クレーンがなかった頃は、腕や腰に負担がかかり大変だったといいます[クリックして拡大] 出所:ものづくり新聞

――このクレーンは智さんが作られたと伺いました。

智さん そうです。材料は大型ホームセンターで購入し、溶接したりサンダーで削ったりして作って、ハンドリフターを2台使って設置しました。工場内で使っている棚なども含めて、3D CADで設計して作っています。ほとんど1人でやりました。

――お1人でクレーンを取り付けてしまうなんて、驚きです。

智さん 昔は結構、自分たちでクレーンをつけている職人さんがいたんですよね。そういうのを見てきたのもありますし、できそうなものは自分でやるのが自然ですね。作るのは大変なんですけど、楽をするための努力は結構できるんです。

小さなことでも、楽に仕事ができるように考える

――もし、お二人が「イチから働きやすい工場を作る」としたら、どんな工場にしたいと考えますか?

智さん 少ない人数で、なるべく疲れずに働けるような工場にしたいですね。

――例えば、どのようなことでしょうか?

智さん 例えば金型や部品をクレーンで運ぶ時に、吊りボルトで締め上げて持ち上げるのと、フックで引っ掛けて持ち上げるのとでは、フックで引っ掛ける方が簡単です。吊りボルトを回して締めるのって、力も必要だし、何度も行う作業なので結構大変なんですよね。小さなことから「楽できるところは楽をする」ことができるような、工場が理想ですね。


飯ヶ谷さんご夫婦 出所:ものづくり新聞

――それが結果的に、効率の良い仕事にもつながる気がします。

智さん 一つ一つは本当に小さな改善なので、いきなり効果としては現れませんが、少し時間がたつとその効果が実感できることがありますね。

――美雪さんはいかがでしょうか?

美雪さん 私の実体験ですが、重い物を持つこと以上につらいと感じることがあります。それはボール盤にキツく取り付けられたドリルを外す作業や、箱に入った重い物を指先を使って引っ張り出す作業、ハンマーを使った圧入作業など、手や指を使った作業です。無理したらできてしまうのですが、繰り返し作業しているうちに、疲労が蓄積し、腱鞘炎などにつながってしまいます。ですので、女性や力の弱い人は、時間は掛かってしまうとしても、無理せず機械や工具に頼ることが大事だと感じています。

 あとはやっぱり、そこで働く人の動きを熟知した上で配置を決めることですね。良い配置や構図は、工場やそこで働く人によって変わると思います。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る