「床が灰皿」だった昔ながらの金型屋が、キッチリ整理の工場に変わった理由:ワクワクを原動力に! ものづくりなヒト探訪記(4)(4/6 ページ)
本連載では、厳しい環境が続く中で伝統を受け継ぎつつ、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。今回はプレス金型を製造している飯ヶ谷製作所を取材しました。
まずは「ボルトがここにある理由」を考える
――そんな工場を変えようと思い、行動したのはいつからでしたか?
智さん 今から10年以上前だと思います。私が社長になったあたりから、本格的に取り組むようになりました。
――例えばこちら(下記画像)の作業台の道具や部品の位置はどのようにして決めましたか?
美雪さん まずは仕事を覚えることから始まりました。この辺りの配置や整理は私が携わっているのですが、自分が仕事を覚えないと、「ここにこれがあったら便利かも」というアイデアは浮かびません。その上で、棚の位置や道具の場所を決めました。
――なるほど。自分がどう動くか、どんな仕事をするのかを理解した上で、配置を考えるのですね。
美雪さん 最初は「なんでこのボルトがこの場所にあるのか」が全く分からず、整理しようと思っても結局何も触れなかったんです。工具を使う時は、前に使った職人さんが置いた場所にそのまま戻すしかなくて。
でも結局それも探すことになるんですよね。そんなことを繰り返しながら仕事を覚えていくうちに「これはここにあった方がいい、これはあまり使わない」ということが分かってきました。それからもアップデートを重ねて、今の形になっています。
――こういったホルダー(下記画像)は、既製品を使われているのですか?
美雪さん そうです。モノタロウなど現場系のECサイトでも購入しますが、IKEAに行って合いそうな収納パーツを買ってきて工具の収納に使うこともあります。昔からDIYやモノづくりが好きで、どうやったら良くなるかを考えてやってみるのが当たり前なんです。時には失敗することもあるんですが、そうやって試行錯誤している時間が楽しいですね。
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