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日系各社の新車生産がコロナ前の水準に近づく、半導体不足から2年自動車メーカー生産動向(1/2 ページ)

2023年2月の自動車生産は、日系乗用車メーカー8社合計の世界生産台数が4カ月ぶりにプラスへ転じた。半導体不足が深刻化してから2年が経過し、依然として供給が足りない状況ではあるものの、2月の実績からはその影響は年々緩和していることが分かる。

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 自動車生産が着実に回復している。2023年2月の自動車生産は、日系乗用車メーカー8社合計の世界生産台数が4カ月ぶりにプラスへ転じた。国内、海外ともに前年実績を上回った。半導体不足が深刻化してから2年が経過し、依然として供給が足りない状況ではあるものの、2月の実績からはその影響は年々緩和していることが分かる。

 8社合計の世界生産は、前年同月比2.8%増の206万6283台だった。2月の実績としては、中国で新型コロナウイルスの感染拡大が広がった2020年、半導体不足が深刻化した2021年以降と、3年連続で増加しており、コロナ禍前の水準に着実に近づいている。

2023年2月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 281,521 474,318 149,210 120,560 755,839
11.2 ▲ 2.7 10.2 ▲ 14.1 2.0
ホンダ 60,572 280,002 129,983 91,022 340,574
3.8 ▲ 2.2 18.4 ▲ 28.3 ▲ 1.2
日産 57,764 242,970 97,514 76,048 300,734
17.4 7.4 13.0 0.9 9.2
スズキ 72,685 187,681 - - 260,366
▲ 7.3 ▲ 4.4 - - ▲ 5.2
ダイハツ 80,263 72,642 - - 152,905
▲ 8.9 18.5 - - 2.4
マツダ 72,473 31,727 20,859 4,869 104,200
19.8 21.4 64.4 ▲ 41.2 20.3
三菱自 43,330 46,939 - 1,034 90,269
4.0 ▲ 3.5 - ▲ 66.4 ▲ 0.1
スバル 32,704 28,692 28,692 - 61,396
22.4 37.2 37.2 - 28.9
合計 701,312 1,364,971 426,258 293,533 2,066,283
6.9 0.8 16.8 ▲ 20.0 2.8
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計

 このうち国内生産は、前年同月比6.9%増の70万1312台で、2カ月連続のプラス。これは前年の感染拡大の影響や半導体不足に対する反動が主な要因。ただ、コロナ禍の影響が本格的に広がる2020年2月と比較しても4.4%減という水準まで回復しており、半導体不足の影響が緩和している様子が伺える。

 海外生産は、国内に比べて回復力が弱く、前年同月比0.8%増の136万4971台と4カ月ぶりにプラスに転じたものの、微増にとどまった。北米は同16.8%増と2カ月連続で増加するなど回復基調が鮮明な一方で、中国は同20.0%減で5カ月連続のマイナスと低迷が続いている。要因としては、「ゼロコロナ政策」によるさまざまな影響の他、政府による補助金終了の余波、さらに日系メーカー特有の課題として、電気自動車(EV)人気の陰で、日系が得意とするガソリン車やハイブリッド車(HEV)が伸び悩んでいる、といった事情もありそうだ。

→「自動車メーカー生産動向」のバックナンバーはこちら

トヨタ自動車

 メーカー別に見ると、トヨタ自動車の2月のグローバル生産台数は、前年同月比2.0%増の75万5839台と2カ月連続で前年実績を上回った。1月に示した75万台という計画に近い実績だった。このうち国内生産は、同11.2%増の28万1521台と2カ月連続のプラス。これは前年2月の半導体不足や感染拡大の影響に対する反動増に加えて、受注残が増えている国内市場向け車両の部品供給を増やしたことも理由で、このため輸出は6.4%減と減らしている。

 国内生産を増やしたことで、海外生産は前年同月比2.7%減の47万4318台と2カ月ぶりに前年実績を下回った。地域別では、北米は同10.2%増と2カ月連続の増加。半導体不足の影響はあるが、前年の反動で2桁%増となった。厳しいのが中国で、大きく回復した前年の反動減の他、感染拡大に伴う稼働調整などもあり、同14.1%減と4カ月連続のマイナスとなった。中国以外のアジアは、インドが能力増強で3.3倍と伸長。東南アジアも好調を維持し、アジアトータルでは同0.1%増と中国の減産をカバーした。欧州は部品供給不足の影響により、同39.7%減と大きく落ち込んだ。

ホンダ

 ホンダの2月のグローバル生産台数は、前年同月比1.2%減の34万574台で4カ月連続のマイナスだった。海外生産が同2.2%減の28万2台で、4カ月連続で減少した。これは最大市場の中国が同28.3%減と低迷したことが要因。前年2月が過去最高だった反動が表れた他、半導体不足や新型コロナウイルス感染拡大の影響により、6カ月連続のマイナスとなった。その結果、アジアトータルでも同15.7%減と6カ月連続で前年実績を下回った。一方、北米は前年のオミクロン株感染拡大の反動により、同18.4%増と2カ月連続のプラスだった。

 国内生産は、前年同月比3.8%増の6万572台と3カ月ぶりに前年実績を上回った。半導体不足の影響により埼玉製作所と鈴鹿製作所の稼働率を当初計画比9割に調整し、「シビック」「ステップワゴン」「ヴェゼル」を減産。その一方で、国内最量販車種の「N-BOX」や売れ筋の「フリード」などの生産は確保している。なお、シビックは慢性的な半導体不足により納期が1年以上に伸びているため、3月から国内で販売する全モデルの受注を停止している。

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