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データ活用やモジュール生産に貢献するコントローラー、ライン全体の効率化を実現FAニュース

オムロンは、情報制御と安全制御を進化させたオートメーションコントローラーの新製品をグローバルで発売すると発表した。発売するのは、CPUユニットと、EtherNet/IPユニットで、高精度なデータ活用機能と用途に応じた柔軟性を備えていることが特徴だ。

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 オムロンは2023年4月17日、情報制御と安全制御を進化させたオートメーションコントローラーの新製品を同月24日にグローバルで発売すると発表した。発売するのは、CPUユニット「形NX502-1□00」(以下、NX502)と、EtherNet/IPユニット「形NX-EIP201」(以下、NX-EIP201)で、高精度なデータ活用機能と用途に応じた柔軟性を備えていることが特徴だ。

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新製品の外観[クリックで拡大] 出所:オムロン

 製造現場では、生産性向上とともにカーボンニュートラル実現のための取り組みが求められるようになってきている。それに応じて、工場内のさまざまな装置の動きを制御するコントローラーの役割についても変化が求められるようになってきている。従来は個々の装置をより高速高精度に動作をさせることを目的とし、コントローラーについてもタクトタイムを削減するために制御タクトを上げ、ハードウェアとしての処理能力を向上させることが重視されてきた。

 しかし、要求が複雑化する中で、個々の制御性能を向上させるだけでは、製造ラインや工場全体の生産性の向上やエネルギー使用量の低減を実現することは難しい。そこでオムロンでは「効率最大化による生産性向上」をコントローラーに求められるものとして位置付け、新製品ではデータ活用に関する性能や機能の向上と、実使用環境に応じた機能を強化した。

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コントローラー開発の方向性[クリックで拡大] 出所:オムロン

 新たなCPUユニット「NX502」とEtherNet/IPユニット「NX-EIP201」は、オムロン独自の高度な情報処理/通信技術と大容量メモリを採用し、リアルタイムでの分析や工程をモジュールごとに分割した制御などを行える。

 特に、世界最高精度(オムロン調べ、コントローラーとして)のデータ収集能力と大容量転送能力を実現。ジッタ(デジタル信号のタイミングのゆらぎ)を1μs以下に抑えた正確なデータ収集を実現している他、オムロンの従来コントローラーに比べて約4倍のデータ転送能力を持ち、製造現場で起こっていることをタイムラグなしに正確に把握できる他、得られたデータをリアルタイムで分析し加工条件に反映することなどが可能だ。これにより、不良品の要因となる工程の迅速な改善を実現し、さまざまな生産現場での資源廃棄ロス削減に貢献する。「例えば、太陽光発電向けの多結晶インゴットなどのように精密な製品加工を求められる結晶製造プロセスのような場面で、ネットワークの高精度化が貢献する」(オムロン)。

photophoto 従来はデータ転送や分析結果反映にタイムラグが発生する(左)が、新製品の高速/高精度によりリアルタイムフィードバックを可能とする(右)[クリックで拡大] 出所:オムロン

 さらに、NX502とNX-EIP201で進化した統合制御技術により、最大8系統のネットワーク系統分離によるモジュール分割が可能となる。加えて、最大254本の安全コネクションも用意し、情報系統と安全系統を一元化しつつ、大規模生産ラインの制御が可能となる。これにより、大規模なラインでも全体の操業への影響を最小限とした部分的な工程の調整や変更などが可能だ。不具合発生時やライン変更時の影響を抑え、復旧のリードタイムを大幅に短縮できる。「多品種を取り扱うボディーフレーム溶接ラインのように、さまざまな車種を最大可働率で生産する現場では、モジュール構造による超柔軟ラインが求められている。そういう場で力を発揮する」(オムロン)。

photophoto 従来はライン変更時のモジュール分割ができないため影響範囲が広がり時間や工数のロスが発生していた(左)が、新製品では8系統のモジュール分割が可能で安全のネットワーク構成もモジュール化が可能。ライン停止時や工程変更時の柔軟な変更が可能となる(右)[クリックで拡大] 出所:オムロン

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