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大同特殊鋼が52億円を投資し特殊溶解設備を2基新設、高級鋼の需要拡大に対応:工場ニュース
大同特殊鋼は、特殊溶解設備の真空アーク再溶解炉2基を知多第2工場に新設する。投資額は52億円で、2024年度末に稼働開始予定だ。半導体製造装置向けなど、高級鋼の需要拡大に対応する。
大同特殊鋼は2023年3月20日、特殊溶解設備の真空アーク再溶解炉(VAR)2基を知多第2工場(愛知県知多市)に新設すると発表した。投資額は52億円で、2024年度末に稼働開始する予定だ。ニッケル基合金やクリーンステンレスなど、高級鋼の需要拡大に対応する。
ニッケル基合金やクリーンステンレス鋼などの高級鋼は、航空エンジン、半導体製造装置向けなど、高い耐久性が求められる用途で使用される。高級鋼の製造では、真空誘導炉で溶解した鋼塊をVARなどの特殊溶解設備で再溶解し、製品内部の清浄度や均質性を高める。これにより、強度向上や耐用時間の延長が期待でき、厳しい使用環境にも応じられる。
同社はこれまで、群馬県の渋川工場で25t(トン)の真空誘導炉やVARを増設し、高級鋼の生産能力を拡大してきた。今回の増設では、渋川工場に増設スペースを確保できなかったことから、知多第2工場での新設を決定した。知多第2工場は、高級鋼圧延製品の出荷工場となる名古屋市の星崎工場に近いため、圧延製品のリードタイムを短縮するメリットがある。
同社は今回のVAR新設により、高級鋼製品の比率を高め、カーボンニュートラルやデジタル社会への貢献に努めるとしている。
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