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工場内プロジェクションマッピングがモノづくりを変える 山形カシオの実践事例スマートファクトリー(2/3 ページ)

カシオ計算機はプロジェクター技術を生かした新規事業として組込プロジェクション事業を展開し、工場向けでの用途提案を強化している。その実践の場として、同社のマザー工場である山形カシオで、モノづくりの改善にプロジェクターを活用し、徐々に成果を生み出しつつある。その内容を紹介する。

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山形カシオのプロジェクター魅せる化プロジェクト

 カシオ計算機では、こうした取り組みをさらに広げるために自社実践を進めている。プロジェクターそのものの生産工場である山形カシオで、「魅せる化プロジェクト」として工場内でのプロジェクションARの活用を実践し、生産性の改善に活用するとともに、用途開拓を行っている。

外観検査の各種作業をプロジェクションARで支援

 実際にプロジェクションARを活用し、生産性が高まる成果が出ているのが、外観検査の作業ガイドだ。プロジェクションARにより、作業机と検査を行うワーク上に作業ガイドと検査規格を投影し、作業を支援する。

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外観検査プロジェクションAR作業ガイドを行う作業台。赤丸部分にプロジェクターが組み込まれており、青丸部分にカメラが組み込まれている[クリックで拡大]

 作業台に直接映像を映すことで、作業者は目線を大きく動かすことなく行う作業内容を把握できる。さらに、ラベルの場所やネジの位置など、確認作業を行う箇所などをワークに直接映して示すことで迷いなく作業を行えるようになる。ポイントは、カメラと画像処理により、ワークの向きを自動認識し、天面や底面などで正確な作業位置の表示を自動で行えるようにしていることだ。カメラでの認識をトリガーとして作業タクトの把握などにも活用することができる。

 山形カシオ コンシューマ製造技術部 第一品質技術課 課長の加藤新一氏は「プロジェクターの生産では同じモデルを続けて生産するわけではないため外観検査工程の作業内容も都度変わる。作業者も固定しているわけではないため『初めて』『変更』『久しぶり』の3H管理が重要になってきており、こういう環境でも作業品質を維持するために何かできないかを検討していた。プロジェクションARを活用することで、断続的に発生する作業でも、抜け漏れなく効率的に行えるようになる」と価値について語っている。

photophoto カメラで事前に登録したワークの特徴点を認識し、最適な作業ポイントをワーク上に表示する[クリックで拡大]
photophoto 側面(左)や底面(右)も自動認識してワーク上に作業ポイントを示せる[クリックで拡大]

 外観検査プロジェクションAR作業ガイドでは、実際に作業手順書の確認などの時間を大幅に削減できたことにより、1台の作業にかかる時間を5分の1に削減することに成功した。作業の抜け漏れなどもなくなり、作業品質の向上とトレーサビリティー確保などの効果も生んだという。加藤氏は「現在はプロジェクターの外観検査で活用しているが増設を進める他、山形カシオ内の他の品目でも使えないか検討している。海外拠点での活用なども検討する」と話している。

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