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「かわいい」切子づくりは未来のため! 事務職から大転身した切子職人ワクワクを原動力に! ものづくりなヒト探訪記(2)(4/5 ページ)

本連載では、厳しい環境が続く中で伝統を受け継ぎつつ、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。今回は切子グラスなどを製造する椎名切子(GLASS-LAB)を取材しました。

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子供のころからキラキラしたものが好き

――子供の頃はどんなお子さんでしたか?

石川さん 実は外で遊ぶのが好きなフリをずっとしていました。別に外で遊ぶことが嫌いなわけではないんですが、本当は家でゲームをしたり漫画を読んだりしたいのに、当時はオタクっぽいのはカッコ悪いみたいな時代だったので、外で遊ぶしかないっていう感じでした。

――なるほど。実はゲームや漫画がお好きだったのですね。

石川さん 当時はあまり大きな声で周りにゲームや漫画が好きだと言えなくて、遊ぶと言ったら外遊びという環境でした。でもずっと友達と外で遊んでると無意識に疲れてしまうみたいで、気付いたらその集団から離れてアリを眺めるような、そんな子供でした。

――お1人の時間が大事というのは今も変わりませんか?

石川さん 変わらないですね。あと、昔からキラキラしたものが好きです。例えばキラキラしたシールとか、子供の時は集めていました。コレクター気質もあるので、好きなものを集めることも好きでしたね。

――今でも何か集めていらっしゃるんですか?

石川さん 『ジョジョの奇妙な冒険』が好きで、関連グッズを集めています。ハマるといろいろ集めたくなっちゃうんです。

切子を未来に残すために

――2年ほど仕事をしてきて、ご自身の中で変化や発見などはありましたか?

石川さん 自分の技術向上だけではなく、椎名切子や平切子の継続のことを考えるようになりました。椎名切子や平切子を未来に残していくためにはどうすればいいのか、私は何をすべきかと考えています。

――具体的なビジョンはありますか?

石川さん まず、椎名切子を残していくために、自分が成長していかなければと思っています。私、椎名家の人々がすごく好きです。サザエさんのようにアットホームな感じで、私にとっては理想の家族です。そんな方々と一緒に仕事をしていると楽しいですし、残していかなければという気持ちになります。お父さんがいつか引退するとなった時、私が何もできなかったら申し訳ないじゃないですか。だから、次の世代に技術を伝えられる人間にならなきゃと思っています。

――方向性、目指すところが見えてきた感じでしょうか。

石川さん そうですね。江戸切子を勉強することも、平切子を極めていくことも、全てそこにつながります。特に、平切子職人さんは世界に10人もいないんです。この前お会いした平切子職人さんは、自分の代で廃業されるとおっしゃっていて、全体的にどんどん減っている状況です。それは悲しいなと思っていて、平切子のことを広めたり職人を増やすには、まず自分が上手になるしかないんですよね。


加工を施す前のグラス 出所:ものづくり新聞

――平切子と江戸切子、どちらの技術も磨いていきたいとのお考えだと思いますが、石川さんのお話を聞いていると、特に平切子への愛が強い印象を受けました。

石川さん 平切子の加工だけで仕上げた製品ってほとんどないんです。柄を作りだす加工がメインだとしたら、平切子は脇役のような感じです。平切子って真っすぐな面を作る加工なので、職人さんが手作業で作っていると思わない人も多いみたいで。私の友達も、私は江戸切子をやっていると思っている人がいるくらいで、平切子はほとんど知られていないと思います。

 でも私は、そんな平切子がかわいく思えて仕方ないんです。かわいいと思うものを知ってほしいし、手にとってもらいたいと思っています。

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