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「かわいい」切子づくりは未来のため! 事務職から大転身した切子職人ワクワクを原動力に! ものづくりなヒト探訪記(2)(3/5 ページ)

本連載では、厳しい環境が続く中で伝統を受け継ぎつつ、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。今回は切子グラスなどを製造する椎名切子(GLASS-LAB)を取材しました。

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事務職入社からモノづくり職人の道へ


石川美幸(いしかわ みゆき)さん 出所:ものづくり新聞

――椎名切子に入社される前は、どのようなお仕事をされていましたか?

石川さん 美容専門学校を卒業し、最初は美容師として働いていました。でも、皮膚が弱くて手が荒れてしまい、薬剤をたくさん使う美容師の仕事ができなくなりました。その後、いくつかの仕事を経て、不動産情報サイトを運営している会社に入社しました。そこで、当時は同僚だった椎名切子の椎名隆行さんと出会いました。

――そうだったのですね。

石川さん 最初は別の部署でしたが、同じタイミングで同じ部署に異動になりました。私もその部署の仕事は初めてで分からないのに、「〇〇って何ですか?」と立て続けに質問してきたのが椎名さんでした(笑)。質問攻めされて、それをなんとかして教えているうちに仲良くなりました。当時は会社の仲間としょっちゅう飲みに行っていましたね。

――そこから、どんなきっかけがあって椎名切子に入ることになったのですか?

石川さん 椎名切子を立ち上げるために椎名さんが退職され、その後私も退職して別の会社で仕事をしていましたが、お互い退職してからも月に1回飲みに行く交流は続いていました。その時に事務の仕事を手伝ってほしいと声を掛けてもらったのがきっかけです。


作業場の様子[クリックして拡大] 出所:ものづくり新聞のTikTokアカウントより

――入社のきっかけは事務の仕事だったのですね。どんなことをされていたのですか?

石川さん Webサイトやコラムの更新だけでなく、テレビの反響がどのくらいあったか調べたり、メディア向けのプレスリリースを出したりと、マーケティングや広報の仕事をしていました。InstagramやTwitterの「中の人」は当時から今でもやっています。

――広報やマーケティングのご経験はあったのですか?

石川さん 未経験でした。椎名切子に入ってから勉強し、椎名切子で通販サイトを立ち上げる時は、商品写真を撮ったり説明文を書いたりしました。SNS更新など一部の業務は今でも続けていて、どれも経験はなかったのですが、写真や文章を書くのは好きなので楽しみながらやっています。

――切子職人になったのはどんなきっかけがあったのでしょうか?


作業の様子[クリックして拡大] 出所:ものづくり新聞

石川さん ある時椎名さんから、後継者をどうするか悩んでいるという話を聞きました。椎名さんの弟・康之さんが継いでいるものの、康之さんはサンドブラストで忙殺されているため、お父さん(康夫さん)の技術である平切子を後継する人がいないということでした。それを聞いて、「私がやります!」と手を挙げたんです。

――椎名さんとしては、まさか! という感じだったのではないですか?

石川さん そうだったと思います。でも、事務の仕事やSNSをしているうちに、作る方にも興味が出てきたんです。それに、もともと手に職を付けたいと思っていました。かつて美容師を志したのも同じ理由です。ずっと前に、「職人の仕事に興味あるけど、どうやったら職人になれるの?」と思ったこともあったので、チャンスだ!と思いました。

――康夫さんと石川さんは、師匠と弟子の間柄になると思うんですが、一緒に働いていてそのあたりはいかがですか?

石川さん いわゆる師匠と弟子という感じではないかもしれないですね。「これやれるか?」といわれても、できそうになければ「できない」と言ったりしています(笑)。本当にいろいろなことを教えていただいています。必要以上に気を遣わず、自然体で仕事ができていますね。

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