「かわいい」切子づくりは未来のため! 事務職から大転身した切子職人:ワクワクを原動力に! ものづくりなヒト探訪記(2)(2/5 ページ)
本連載では、厳しい環境が続く中で伝統を受け継ぎつつ、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。今回は切子グラスなどを製造する椎名切子(GLASS-LAB)を取材しました。
仕事の幅を広げるため江戸切子も勉強
――平切子は江戸切子の一種とはいえ、一般的にイメージされる江戸切子とは少し違う要素がありますね。
石川さん 江戸切子はガラスの表面に切り込みを入れて線のような模様をつける加工で、平切子は面を作るので機械もやり方も異なります。私がメインでやっているのは平切子ですが、江戸切子を週に1回、別の師匠に習いに行っているんです。平切子の修行をやるようになってから、周りに勧められて江戸切子の修行も始めました。
――そうなんですね。椎名切子では線で模様をつける江戸切子の製品は作られていないのですか?
石川さん かつて、椎名隆之さんのお母さんが江戸切子の加工をしていました。お父さんと弟さんは自分のメインの仕事があるので、やっていません。ですので、私が江戸切子の技術を習得できたら、仕事の幅が広がるだろうなと思って勉強しています。
――江戸切子の師匠のところへは、どのくらいの期間通われているのですか?
石川さん 2年くらい通っています。本当に奥が深くて、突き詰めたら修行が終わらない世界だと感じています。江戸切子展示会に行くと、こんなデザインどうやって考えるんだ……と圧倒されます。
――グラスのデザインはご自身で考えられるのですか?
石川さん 基本的にみんな自分で考えていると思います。私は平切子と江戸切子を使ったグラスが作りたいんですよね。江戸切子は昔から作られてきた柄のパターンがいくつかあるんですが、それと平切子の良さを合わせたグラスです。
――そういう製品はまだないのですか?
石川さん 要素として入っているものはありますが、2つの良いところがちゃんと分かるような製品が作りたいです。そのためには、平切子づくりも江戸切子づくりも、もっともっと経験を積みたいと思っています。
平切子は「かわいい」!
――現在の仕事に対する率直な感想をお聞かせください。
石川さん 切子ってひとことで言っても、本当にいろいろあるなとつくづく思います。職人さんによっても思想や考え方が違っていて、捉えるのが難しい世界ではありますが、このままこの仕事を続けたいなと思っています。
――自分で考えてじっくり取り組める仕事がお好きなのでしょうか?
石川さん そうですね。好きだと思います。加工前のグラスを見てるだけでもかわいいじゃないですか。それを更にかわいくできるのって楽しいなって、純粋に思います。
――子供の頃から、キラキラやかわいいものが好きという気持ちが根底にあるんですね。
石川さん この仕事をしてから友達に「昔からキラキラしたものとか、かわいいもの好きだったもんね」といわれて、自分でも納得したことがあります。かわいいものを作るのって楽しいです。平切子の面のツルツルした感じとか、かわいいんですよホントに。
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