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カシオが設計者CAEによるフロントローディングで関数電卓の従来課題を解消:CAE最前線(2/4 ページ)
関数電卓の新機種開発において、カシオ計算機は設計者CAEによるフロントローディングを実践し、液晶パネル周りを補強する部品を、従来の金属から樹脂に置き換えることに成功した。
トポロジー最適化を活用し、形状の最適化を実施
インナープレートの樹脂化に向けては、トポロジー最適化(位相最適化)を用いて樹脂製インナープレートの最適な形状を導き出した。
具体的には「まず、落下解析を実施し、液晶部の変形条件を確認して3パターンの変形を捉え、これら3つの変形が最小になるようにトポロジー最適化で肉抜きを行った。そこで得られた結果から着想を得て、リブ形状を施したインナープレートを設計し、再度落下解析を実施した。落下解析の結果(液晶部の発生応力)が目標値以内に収まるまで形状の微調整と解析を繰り返した」(結城氏)。
従来のアプローチでは、実際に樹脂製インナープレートを試作して、実験によって検証する必要があったが、トライ&エラーの作業をコンピュータ上(バーチャル)で繰り返し行えたことで非常に精度の高い設計が可能となり、ほぼ手戻りなしで金型製作まで進めることができたという。結城氏は「実際、出来上がった樹脂製インナープレートを組み込んだ実機試験で、液晶部の割れは発生しなかった」と振り返る。
こうして開発した樹脂製インナープレートは2022年発売の「ClassWiz」シリーズの新機種(FX-991CW、FX-82NLなど)に搭載されることとなった。
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