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2023年はispaceの月面への挑戦に注目、日本初の月面走行も実現するかMONOist 2023年展望(2/3 ページ)

2023年もさまざまな話題がある宇宙開発。今回は、2022年に引き続き、「月面探査」「新型ロケット」「深宇宙探査」の3つをテーマに動向を見ていきたい。

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H3ロケットは初号機に続き、注目の2号機も

 次は、新型ロケットの話題だ。まず注目したいのは、産みの苦しみが続いている日本の次期基幹ロケット「H3」である。2月17日に打ち上げられる予定だったのだが、LE-9エンジンの点火後に電源系統の異常が見つかり、発射直前に中止。現在、JAXAで原因を調べているものの、まだ特定には至っていない。

メインエンジン点火後の中止は、日本では1994年のH-IIロケット2号機以来
メインエンジン点火後の中止は、日本では1994年のH-IIロケット2号機以来[クリックで拡大]

 H3ロケットは当初、2020年度の初打ち上げを計画していたが、これまでに2度延期。2022年度中の完成を目指し、初号機の打ち上げに臨んでいた。目標通り、年度内に打ち上げるためには、予備期間として設定されていた3月10日までに実施する必要があり、時間的な余裕はあまりない。

 今後の初号機のスケジュールにも影響されるが、2023年度中には、2号機の打ち上げも実施される予定。この2号機は、ある意味、初号機以上に注目されるだろう。

 初号機のLE-9は、完成スケジュールを優先させ、限定的なタイプ1エンジンを搭載。それに対し2号機では、本来のスペックであるタイプ2エンジンが使われる予定だ。また、初号機はH-IIAに似たブースター付きのスタイルだったが、2号機はブースター無しの構成になる。最も“H3らしい”と言え、どんな風に飛んでいくのか、見るのが楽しみだ。

※)JAXA 打ち上げ特設サイト

 その他日本では、スペースワンが小型固体ロケット「カイロス」の打ち上げを計画している。ただ、こちらも予定は遅れ気味。2022年10月の時点で、打ち上げは2023年2月末に延期され、同年1月にはさらに夏頃への延期が明らかになった。世界的な物流の混乱により、海外からの部品調達が困難になったことが理由だという。

※)スペースワン「カイロス」

 またインターステラテクノロジズ(IST)は当初、超小型衛星用の新型ロケット「ZERO」の初打ち上げを2023年度に予定していたが、これは既に2024年度に延期されており、残念ながら、2023年の打ち上げはない。ただ、エンジンの燃焼試験など、さまざまな試験がどんどん公開され、完成への道のりを感じられる1年になるだろう。

超小型衛星用ロケット「ZERO」の開発スケジュール
超小型衛星用ロケット「ZERO」の開発スケジュール[クリックで拡大] 出所:IST

※)IST「ZERO」

 そして海外では、いよいよESA(欧州宇宙機関)の大型ロケット「アリアン6」がデビューするかもしれない。こちらも完成が遅れていたのだが、2022年10月時点での情報では、初打ち上げは早ければ2023年第4四半期にも実施される予定だという。商業打ち上げ市場で大成功を収めた「アリアン5」の後継機であるだけに、動向が注目される。

欧州の大型ロケット「アリアン6」
欧州の大型ロケット「アリアン6」[クリックで拡大] 出所:Arianespace

※)ESA「アリアン6」

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