エアバスの自動空中給油システムの安全認証取得プロセスを支援:組み込み採用事例
ウインドリバーは、「Airbus A330 MRTT」が装備する自動空中給油システム「A3R」の安全認証取得プロセスを支援した。Airbus A330 MRTTは、日中の自動空中給油機能で安全認証を取得した世界初の空中給油機になるという。
ウインドリバー(Wind River Systems)は2023年1月24日(現地時間)、エアバス(Airbus)の「Airbus A330 MRTT(空中給油・輸送機)」が装備する自動空中給油システム「A3R」の安全認証取得プロセスを支援していたことを発表した。Airbus A330 MRTTは、日中の自動空中給油機能で安全認証を取得した世界初の空中給油機になるという。
Airbus A330 MRTTの空中給油ブームシステム(ARBS)は、複数のセーフティクリティカルレベルで動作するARINC 653に準拠し、民間航空宇宙システムのソフトウェア認証であるDO-178C DAL Aを取得した。同システムには、Wind Riverの統合化アビオニクス(IMA)システムプラットフォーム「VxWorks 653」が採用されている。VxWorks 653は、最も難度の高いセーフティクリティカルなアプリケーションで実証されているため、サプライヤーはEN 50128、IEC 61508、ISO 26262、ED-12C/DO-178Cなどの厳しい安全認証要件に効率良く適合できる。
また、自動空中給油システムのA3Rは、スペイン国立航空宇宙技術研究所(INTA)から、マルチコアプロセッサ上の複数のコアで同時に動作するED-12C/DO-178C DAL Aアプリケーションの認証を複数取得している。
A3Rは、受油機の形状と給油口を識別し、高高度飛行中でも自動でブーム接続と給油ができる。効率的な給油作業が可能になるほか、空中給油オペレーターの作業負荷や給油作業特有のリスクが軽減し、空中での給油速度を最適化する。
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