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「何ができるか」に代え「なぜできるか」を発信、アマダが強める技術指向【前編】FAニュース(1/2 ページ)

アマダは神奈川県伊勢原市の本社敷地内に「Amada Global Innovation Center」(AGIC)を開所した。本稿では、前編としてAGICの概要と業界初という「Innovation LABO」、従来の機械展示を見直した「Innovation SITE」について紹介する。

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 アマダは2023年2月3日、神奈川県伊勢原市の本社敷地内に設けた「Amada Global Innovation Center(AGIC=エージック)」の開所式を行った。本稿では前編としてAGICの概要と業界初という「Innovation LABO」および従来の機械展示を見直した「Innovation SITE」について紹介する。

本社敷地内に170億円を投資して設けた「Amada Global Innovation Center」
170億円を投資して設けた「Amada Global Innovation Center」[クリックで拡大]出所:アマダ

 アマダは1978年に「アマダマシンツールプラザ(AMTP)」をオープンさせ、自社展示場に全国からユーザーを招き、機械を販売するという手法を業界に先駆けてスタートした。その第2世代として、1992年に「アマダソリューションセンター」が誕生。AGICはそのアマダソリューションセンターを全面刷新した。延べ床面積は3万m2となり、自社展示施設としては世界最大という。「お客さまとともに金属加工の未来を共創する空間」をコンセプトとし、宿泊機能を備えた隣接の多目的研修施設「アマダフォーラム」と連携する総合提案機能施設だ。投資金額は170億円。

アマダの磯部氏
アマダの磯部氏

  アマダ 代表取締役 社長の磯部任氏は「AGIC建設に当たり、今後20年、30年使う施設として、これからの施設、提案というのはどうあるべきか、その在り方を皆で考えてきた。たどり着いた結論は、アマダは機械メーカーであり、技術志向に立ち返り、一層強めていくということだ。『お客さまとともに発展する』という経営理念を、もう一度再認識しようとAGICを立ち上げた」と語る。

「Innovation LABO」でニーズからシーズを生み出す

 象徴的な機能となるのが、ユーザーが抱えるさまざまな課題や要求品質、新たな加工方法などをアマダの技術スタッフとともに検証する業界初の「Innovation LABO」だ。

 レーザー加工が2部屋、パンチ複合が1部屋、ベンディングが2部屋、溶接が3部屋、開発中の機械を設置した1部屋に分けられ、切る、曲げる、付けるといった分野ごとに新旧延べ13台の機械が置かれた9部屋のラボルームを設けた。

 各部屋は外部から中の様子が見えないようになっている他、ドアにはIDシステムが導入され、使用中はそのユーザー専用のスペースとなり、機密が漏れる心配がない。大型材料の搬入も可能となっている。

 常時20℃に保たれている測定室には、厳密な測定を行うための2×3mの石定盤が置かれている他、3次元測定器、画像寸法測定器や表面粗さ計、引っ張り試験器、X線透視装置など最新の測定器が並んでいる。測定データは持ち帰ることも可能だ。その他、大小3つの会議室やロッカールームなどを備えている。

「Innovation LABO」
「Innovation LABO」を使用中は専用のプライベートルームとなる[クリックで拡大]出所:アマダ
測定室には最新の測定器が並ぶ
測定室には最新の測定器が並ぶ[クリックで拡大]出所:アマダ
アマダの山梨氏
アマダの山梨氏

 2023年4月1日付で代表取締役社長に就任する取締役 専務執行役員で板金開発・生産本部長の山梨貴昭氏は「加工の段階からユーザーのニーズを捉え、その課題解決からシーズを作り出す。工程別の加工課題や製品視点の精度、品質、コストなどの課題、さらに工程改革に向けた加工検証など、われわれの技術スタッフとともに検証させていただく」と語る。

 もう1つの狙いは、EV(電気自動車)や半導体などの新しい領域や新素材への対応だ。「最先端技術を持つ企業や大学らと協業体制を構築して、ニーズを把握するとともにシーズを作り出していく」(山梨氏)。

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