エアバスがゼロエミッション航空機開発に高速メッシュレス構造解析ツールを採用:CAEニュース
エアバスのゼロエミッション民間航空機開発構想「ZEROe」プロジェクトに、アルテアの高速メッシュレス構造解析ツール「SimSolid」が採用された。
Altair Engineering(以下、アルテア)は2023年2月1日、Airbus Commercial(以下、エアバス)が手掛けるゼロエミッション民間航空機開発構想「ZEROe」プロジェクトに、高速メッシュレス構造解析ツール「Altair SimSolid」(以下、SimSolid)が採用されたことを発表した。
部品解析の納期を数日から数分に短縮
SimSolidは、形状が簡略化されていないCADアセンブリでも数分間で構造解析を完了できるCAEツールで、従来の構造解析で手間や時間のかかっていたジオメトリの簡略化やメッシング作業が不要となり、開発リードタイムの短縮やコスト削減に貢献する。
世界初となる水素推進エンジン搭載の民間航空機の実現を目指すZEROeプロジェクトに、アルテアのSimSolidを採用した理由について、エアバスは「初歩的な部品解析の納期を数日から数分に短縮し、複雑なアセンブリの納期を数カ月から場合によっては1週間未満に短縮できることを示したからだ」(プレスリリースより)と説明する。さらに、SimSolidの直感的で導入しやすい操作とインタフェースにより、事前に形状のクリーンアップやモデルの準備をすることなく解析作業を進めることができる点も採用の決め手となった。
SimSolidの採用によって、エアバスの設計/エンジニアリングチームは、短期間でより多くの設計案を検討できるようになり、プロジェクトの迅速化と持続可能な革新技術の早期実現に貢献するとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- カシオが電子キーボードの鍵盤構造の変更にCAEを活用、その効果と展望
電子楽器開発で40年以上の歴史を誇るカシオ計算機は、グリッサンド奏法の操作性を維持するために採用してきた旧来の鍵盤構造を見直すべくCAEを活用。新たなヒンジ形状を導き出し、作りやすい鍵盤構造を実現することに成功した。その取り組み内容とCAE活用の展望について担当者に話を聞いた。 - フォークボールはなぜ落ちる? スパコンによる空力解析で謎を初めて解明
野球のピッチャーの決め球、フォークボールはなぜ落ちるのか? これまでボールの回転数が少ないことで自然落下による放物線に近い軌道を描くとされていたが、東京工業大学 学術国際情報センター 教授の青木尊之氏を代表とする研究チームがスーパーコンピュータ「TSUBAME3.0」による数値流体シミュレーションを実施し、その謎を初めて解明した。 - 「富岳」で新型コロナ飛沫の大量計算を実施、感染リスクはどこにある?
理化学研究所のスパコン「富岳」を用い、コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する飛沫の飛散シミュレーションが実施されている。理化学研究所が独自開発する流体シミュレーションソフトウェア「CUBE」による飛散シミュレーションの概要、注目すべき結果などについて、理化学研究所 計算科学研究センター チームリーダー/神戸大学大学院システム情報学研究科 教授の坪倉誠氏に話を聞いた。 - ヤマ発が語る、バイク開発に不可欠な「ほこり入り解析」の新手法とその妥当性
ヤマハ発動機は、オンラインイベント「3DEXPERIENCE CONFERENCE JAPAN 2020 ONLINE」において、「モーターサイクルのほこり入りCFD解析について」と題し、CFDソリューション「PowerFLOW」をモーターサイクル(オートバイ)開発に適用した取り組みについて紹介した。 - シミュレーション主導設計の実現に向けた八千代工業の挑戦
八千代工業は、ダッソー・システムズ主催の「Dassault Systemes User Conference 2019」において、「CATIA、Abaqus、Isightを使った樹脂製燃料タンクの最適設計技術の構築と設計者展開」をテーマに講演を行った。 - 仮想実験室からデジタルツインへ、富岳が実現する自動車業界のCAEの形とは
ヴァイナスのユーザーイベント「VINAS Users Conference 2019」で、理化学研究所 計算科学研究センター・神戸大学大学院システム情報学研究科 計算科学専攻 チームリーダー・教授/博士(工学)の坪倉誠氏が登壇し、「HPCシミュレーションとデータ科学の融合による新たな自動車空力について」をテーマに講演を行った。