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カシオが推進する設計者CAEの全品目展開、その実践と効果設計者CAE事例(3/4 ページ)

カシオ計算機は、現在全品目の製品開発において設計者CAEのアプローチを展開し、着実に期待する効果へとつなげている。どのようにして設計者CAEを全品目の製品開発に適用していったのか。担当者に話を聞いた。

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設計者に向けた3段階のCAE教育と現場での実践活用を支える技術構築

 一方、こうした成果を下支えしている設計者へのCAE教育に目を向けてみると、カシオでは、全設計者に向けて実施する「初級レベル(静解析)」、一部の設計者に向けて実施する「中級レベル(非線形解析)」「上級レベル(落下解析)」の3段階のレベルを設定し、「3年後に、国内にいる全設計者の8割程度が初級レベルの教育が完了している状態を目指して推進している」(遠藤氏)という。

 このうち、中級/上級レベルに関しては、初級レベルをマスターした設計者の中から、解析に向いている、やる気のある一部の設計者を選び、より高度な解析に向けた教育を進めている。

カシオ計算機では、設計者に向けて3段階のCAE教育を展開している
カシオ計算機では、設計者に向けて3段階のCAE教育を展開している[クリックで拡大] ※取材内容を基にMONOist編集部が作成

 「CAE教育は4カ月間で、各設計室に協力を仰ぎ、業務時間のうち毎日2時間を教育用に割り当てている。CAEツールの操作についてはベンダーが提供しているテキストで覚えてもらい、解析の学習に関しては、過去品目で行った解析を題材にテスト形式で実施している。その結果を踏まえながら、われわれが設定内容や解析結果の判断の仕方などを直接説明したり、アドバイスしたりしている」(遠藤氏)

 そして現在、CAE技術開発グループでは以上のような設計者向けCAEの教育環境を整備するとともに、設計現場から上がってくる新たな設計課題(梱包落下や鍵盤の弾き心地の解析など)への対応、そして、設計者の解析負荷削減を目的とする解析の自動化や過去データを利用したAI/機械学習による解析支援などの実現にも取り組んでいる。

 「設計者自身が、量産設計をしながら新たな解析手法の構築を行うことはリソースの面からみても現実的ではない。設計者から上がってくる課題やニーズを基に、われわれの方で技術構築し、設計者が使えるカタチに整えた後に、各設計室にそれを下ろしていく。また、CAEの活用が浸透するとともに解析にかかる作業負荷がどうしても増えてしまう。そうした解析負荷を削減して開発スケジュールに影響が出ないよう支援するための技術構築にも力を入れていきたいと考えている」と遠藤氏は説明する。

CAE技術開発グループの現在の役割について
CAE技術開発グループの現在の役割について[クリックで拡大] ※取材内容を基にMONOist編集部が作成

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