微細化と大画面化に対応、キヤノンが生み出す新たな半導体関連技術:SEMICON Japan 2022
キヤノンは「SEMICON Japan 2022」(2022年12月14〜16日、東京ビッグサイト)において、グループ会社のキヤノンアネルバ、キヤノンマシナリーとともに出展し、半導体製造装置の新たなラインアップや技術を紹介した。
キヤノンは「SEMICON Japan 2022」(2022年12月14〜16日、東京ビッグサイト)において、グループ会社のキヤノンアネルバ、キヤノンマシナリーとともに出展し、半導体製造装置の新たなラインアップや技術を紹介した。
0.8μmの解像力とつなぎ露光による超広画角を実現
キヤノンが2023年1月上旬の発売を予定しているi線ステッパー「FPA-5520iV LF2オプション」は、0.8μmの高解像力とつなぎ露光による100×100mmの超広画角の露光を可能とし、積層による3次元技術の実現に貢献する。
後工程で行われるパッケージングでの高密度化を実現する先端パッケージングには微細な配線が必要で、近年では半導体露光装置が使用されている。FPA-5520iV LF2オプションは、従来機種と比べて歪曲収差を4分の1以下にまで改善した新投影光学系と照度均一性を高めた照明光学系により、52×68mmの広画角でありながら0.8μmの解像力と、つなぎ露光による100×100mmの超広画角を実現した。「ユーザーからは微細化と大画面化の2つの要求をいただいている。われわれは前工程で解像力の高い光学系を開発してきており、その技術を後工程のステッパーに展開している」(説明員)。
ブースでは同機で径300mmのウエハーに露光した110×110mmのサンプルや、大型四角基板向けi線ステッパー「FPA-8000iW」によるガラス基板露光サンプルも展示した。
キヤノンアネルバは、2022年12月発売の原子拡散接合装置「BC7300」による接合サンプルを展示した。
BC7300は接合する2枚のウェハー表面にスパッタリングで金属薄膜を形成し、成膜面を相互に接触させ、金属薄膜表面における原子拡散を利用して接合する。加圧する必要がなく、熱も加えないため常温で接合でき、熱に弱いデバイスや熱膨張率の異なる異種材料の接合を可能にする。原子レベルで金属結合しているため接合強度も高い。サイズは径200mm、径300mmに対応する。
ブースでは径300mmのシリコン同士の接合済みウエハーや、石英とパターン付きシリコンの接合済みウエハー、アルミと銅、石英とアルミなどの接合サンプルを展示した。「今後のパワーデバイスにおけるSiC(炭化ケイ素)とGaN(窒化ガリウム)の接合や、光デバイスにおけるチップのウエハーへの貼り付けなどの用途を想定している。既にRFデバイス向けに使っていただいており、高い評価をいただいている」(説明員)。
キヤノンマシナリーはワイヤボンディング接合部や半導体デバイスの実装状態を3次元形状で測定可能なワイヤボンディング外観検査装置「BESTEM-V110」による測定のデモンストレーションを実施した。BESTEM-V110は合焦点法による3次元計測機能を搭載しており、他の3次元計測手法に比べ、傾斜面や微細構造の計測に強い。
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