DMG森精機が中期経営計画発表、2000億円の成長投資で2025年に売上6000億円へ:FAニュース(2/2 ページ)
DMG森精機は2022年12月14日、2023年1月からスタートする3カ年を対象とした「中期経営計画2025」を発表した。事業モデルや経営基盤の進化などを進めて、2022年で4650億円の見通しとなっているグローバルの売上高を、2025年に6000億円まで高める。
サービスエンジニアを年100人増員
保守/サービスでは、2025年に現状より200億円増の1200億円の売上高を目標とする。中期経営計画期間中に現状の約3000人のサービスエンジニアに毎年100人程度の増員をする。
「われわれにはさまざまなメーカーのCNC、PLCを扱うことができる、フレキシブルで高度な技術を持ったサービスエンジニアがそろっている。彼らをデジタルでつなぎ、教育も行いながら、世界最強のサービスエンジニアの集団にしていきたい。サービスエンジニアを1人雇用すると、1人当たりの売上高が1500万円くらいになる。人件費を差し引いても、サービスエンジニアを増やすほど確定した利益が出るのと同時に、ユーザーのメンテナンスを代行するという重要なミッションを果たすことができる。できるだけ長く機械を使っていただくことはサステナビリティにつながる」(森氏)
DMG森精機が認定した周辺機器を一括で手配するDMQP(DMG MORI QUALIFIED PRODUCT)に関しては、工具やクーラントなど商品ラインアップを拡充する。2022年で300億円の売上高を2025年に500億円にする。
インドから日本、欧州向けに鋳物を供給へ
強靭なサプライチェーンの構築に向けて、ドイツのIntegrityNextによるサプライチェーンモニタリングシステムを導入する。安定調達だけでなく、サステナビリティへの取り組みなどについても「欧州基準でモニタリングを行っていく」(森氏)。
鋳物の安定調達に向けてグループ会社の渡部製鋼所で50億円投資し、最新の生産設備に更新している。2025年までに年間3000トン規模で調達できるようにする。インドにも同規模の鋳物工場を新設して日本と欧州向けに生産し、中国に代わる安定供給地にする。DMG森精機ではこれまでも主軸やボールねじ、ターレットなどの基幹部品は内製化してきたが、今後はこれらの内製技術を欧州に展開し、グローバルでの内製化を促進する。
バリューチェーン全体でのカーボンニュートラルに向けた取り組みも加速させる。既に2021年にグローバルで生産する全商品の部品調達から商品出荷までの工程において、消費電力の削減やCO2フリー電力の購入などを通してカーボンニュートラルを達成している。
伊賀事業所の工場屋根に13万m2の太陽光パネルを設置しており、2023年から順次発電を開始する。自家消費型の太陽光発電システムとしては国内最大となり、2025年には年間1400万kWhを発電し、同事業所の電力需要量の30%を賄う。奈良事業所(奈良県大和郡)でも太陽光発電システムを導入し、2023年の秋以降、段階的に稼働を開始、2025年春に全面稼働する予定だ。「今後は電力に関して実質的なカーボンフリーを行っていきたい」(森氏)。
主軸のリビルドや中古機の販売も進めて、リユースにより製品廃棄を減らしCO2削減に貢献する。2025年までにスコープ1、2で2019年比25.2%削減、スコープ3で同7.4%の削減を目指す。
2025年までに設備投資に1000億円、開発投資に1000億円を投じる。計2000億円に及ぶ成長投資だが、森氏は「過去5年間も同等の投資は行ってきた。これまで進めてきたミルターン、同時5軸を中心とした複合加工機の開発にはお金が掛かったが、これから会社のパフォーマンスとしてお見せできる自信を持っている」と述べる。
2025年までの新製品も既に準備が進んでいる。森氏は「特に2023年に出てくる新製品が2025年にたくさん売れていくことになる。これまでも既に工程集約、自動化、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してきたが、これにGXも加えて工程集約、自動化、DX、GXでユーザーにバリューを届けていく」とする。
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