高精度な成形、制御能力を備えたハイブリッド竪型ロータリー式射出成形機:FAニュース
ソディックは、ハイブリッド竪型ロータリー式射出成形機「VR G」シリーズを発表した。正確な充填と安定した可塑化ができるV-LINEシステムや均一な型締力を維持しつつ、新コントローラーや大型画面の採用で制御能力が向上している。
ソディックは2022年11月30日、ハイブリッド竪型ロータリー式射出成形機「VR G」シリーズを発表した。代表機種「VR100G」の価格は2350万円(税別)から。7機種のうち、同年12月にVR100Gと「VR75G」を発売し、2023年1〜4月に順次販売を開始する。
VR Gシリーズは、同社の「VRE」シリーズの後継モデル。正確な充填と安定した可塑化ができるV-LINEシステムや、ソディックハイブリッド直圧型締による正確で均一な型締力を継承している。新たに国際安全規格「ISO20430(JIS B 6711)」に準拠した他、新コントローラーの搭載や視認性、操作性を高めた大型画面の採用により、制御能力が向上した。
高速、高圧、長時間の保圧を必要とする条件下でも、正確で再現性の高い成形ができる。これは可塑化のみを担う可塑化部と計量、射出を担う射出部で構成されるV-LINEシステムと独自の油圧サーボ制御技術によるものだ。
また、高度な通信システムや高精度温調システムを採用した新コントローラーを搭載。応答性の高い射出制御や緻密なヒーター温度制御が可能になり、より安定した高精度成形を支援する。ユーザーが周辺機器の入出力信号を作成できる機能「論理 IO」はこれまでオプションだったが、VR Gシリーズから標準搭載となった。
19インチに拡大した操作画面により、表示可能な情報量が増加している。機械状態データのグラフィカル表示やサイクルチャートのリアルタイム表示機能を追加し、画面の視認性が向上した。操作性の高い画面スイッチ配置は従来のままに、波形表示画面ではピンチイン、アウトなどスマートフォンのような操作が可能になった。
他にも、IoT(モノのインターネット)やビッグデータを取り入れた先進的な生産体制への適応、充実した成形アプリケーション機能の標準搭載、エネルギーロスを抑えた省エネ動作などにより、生産性や操作性の向上、ランニングコストの低減を図っている。
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