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中外製薬がデジタルプラント実現に向け、浮間工場でデジタル基盤を稼働:製造IT導入事例
中外製薬と日本アイ・ビー・エムは、新しい生産オペレーションを支えるデジタル基盤を構築し、中外製薬工業の浮間工場で稼働を開始した。今後、宇都宮工場、藤枝工場への展開も検討していく。
中外製薬は2022年11月7日、日本アイ・ビー・エムと共同で、デジタルプラントの実現に向けた、新しい生産オペレーションを支えるデジタル基盤を構築したと発表した。グループ会社の中外製薬工業の浮間工場で、既に稼働を開始している。
新たに構築したデジタル基盤は、教育系システム、計画系システム、遠隔支援システムで構成される。これら3つのシステムがデータ基盤を介して既存の社内システムと連携することで、効率的な生産、要員計画や進捗管理、現場のリモート支援などに活用できるようになる。
教育系システムでは、教育情報から各種作業資格を認定するほか、教育の配信や資格失効を管理する。計画系システムでは、生産計画から作業計画を立案し、資格保持者のアサインを自動化する。実績データを集め、進捗を可視化することも可能だ。遠隔支援システムは、スマートフォンを用いて遠隔からの確認と支援を実施。GMP(Good Manufacturing Practice)レベルのDI(Data Integrity)に対応した画像データを取得できる。
浮間工場では同基盤の導入後、ライン横断での生産計画立案などにより、最適な作業者の割り当てやモバイルを活用した業務効率化につながった。今後、浮間工場で本格的な活用を進めるとともに、宇都宮工場、藤枝工場への展開も検討していく。
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