急成長のメディアテック、自動車や産業IoTで事業拡大目指し日本市場に熱視線:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
台湾のメディアテックが事業戦略について説明。2021年のグループ売上高は前年比61%増の176億米ドルを記録し、2022年も好調に推移している。スマートフォンの他、ArmベースChromebookやスマートTV向けのSoC、Wi-Fiのアクセスポイント/ルーター向けチップセットなどでも世界シェアトップになったという。
Wi-Fi 7は相互接続性で競合に対して優位
メディアテックが競合に先行する技術を有していることを強調したのがWi-Fiの次世代規格であるWi-Fi 7である。同社 コーポレートバイスプレジデントのマイク・チャン(Mike Chang)氏は「Wi-Fi 7について、最初のデモンストレーションを行い、初の製品の市場投入を行ったのはメディアテックだ。アクセスポイント/ルーター向けのチップセットだけでなく、スマートフォン向けSoCなどのWi-Fi 7対応も進めるなど、全てのWi-Fi 7搭載デバイスに技術を提供しているので相互接続性で競合に対する優位性がある」と強調する。また、メディアテックの技術を搭載するWi-Fi 7のアクセスポイントは、競合に対してカバレッジが30%広くなり、チップセットのフットプリントも20%低減できるとした。
また、今後の市場拡大が期待されるメタバース向けや、自動運転技術の導入や電動化で大きく変わりつつある自動車向けでもメディアテックの強みを発揮できるという。「自動車向けでは既に日本のティア1サプライヤーなどで採用事例があり、事業を拡大していけると確信している」(チャン氏)。
2022年11月8日発表したばかりの第2世代フラグシップスマートフォン向けSoC「Dimensity 9200」についても紹介があった。同年11月22日に発表された「Vivo X90 Pro」に採用されており、今後も続々と採用機種が発表される見通しだ。
Dimensity 9200はTSMCの第2世代4nmプロセスで製造されており、アプリケーションプロセッサとしてArmの「Cortex-X3」×1、「Cortex-A715」×3、「Cortex-A510」×4を、GPUとして11コア構成の「Immortalis-G715」を搭載している。これらは、Armが2022年6月に発表した民生機器向けプロダクトIPセット「Arm Total Compute Solution(TCS)」の最新パッケージ「TCS22」として発表されたものだ。
Immortalis-G715は、モバイル機器向けで初めてハードウェアレイトレーシングに対応しており、モバイルゲーミングではその効果が大きく出ているという。メディアテック スマートフォンビジネス部門副ジェネラルマネージャーのイェンチー・リー(Yenchi Lee)氏は「2023年にはハードウェアレイトレーシングに対応したモバイルゲームのタイトルがリリースされるが、その開発にも協力してきた」と強調する。
メディアテックジャパン 社長の栫啓介氏は「メディアテックはグローバルで1万7000人に従業員がおり、50カ所以上にオフィスを展開している。世界第4位のファブレスICデザイン会社であり、半導体ベンダーとしても世界10位に位置する。日本市場は、既にスマートTVなどの有力企業向けに製品を提供しているだけでなく、成長分野に位置付ける自動車や産業IoT(モノのインターネット)の重要顧客がいる。品質などで厳しい要求がある日本市場の顧客の期待に応えることで、世界で成長していくことにつながるのではないか。だからこそメディアテックは日本市場を重視している」と述べている。
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