連載
モデリングツールとしての「Modelica」(その1):1Dモデリングの勘所(13)(3/3 ページ)
「1Dモデリング」に関する連載。今回から3回にわたって、機械系の1Dモデリングで用いられる業界標準の表現言語「Modelica」について説明する。連載第13回では、従来の物理モデリングの方法とModelicaによる物理モデリングの方法の違いを述べた後、Modelica誕生の背景、概要、仕組み、効果、留意点について解説する。
Modelicaの効果と留意点
非因果的な物理モデリングであるModelicaの効果として、以下が期待できる。
- 設計した製品やコンポーネントが、所望の機能/性能を発揮するか、実物を試作する前に検証できる[構想設計、フロントローディングの実現]
- 仕様を満足した上で、性能、コストを最大化する設計パラメータの値を探索できる[全体適正設計の実現]
- 要素(ハードウェア、ソフトウェア)の不具合による製品/システムへの影響を知ることができる[リスク評価の実現]
一方、モデル作成に当たっては、以下の点に留意する(Modelicaに限った話ではないが)必要がある。
- 考慮すべき物理特性を適切に取捨選択すること(見落とした現象、必要ない現象の仕分け)
- 現象の簡略化のレベルが適切であること(過度にシンプルあるいは過度に詳細)
- パラメータの合せ込みが妥当であること(物理的に正しく設定してあるか)
次回は、オープンソースのModelicaモデリング環境である「OpenModelica」を取り上げ、具体的なインストール手順、画面構成、使い方について説明するとともに、スクリプト(テキスト)ベースのモデリング事例を紹介する。 (次回へ続く)
筆者プロフィール:
大富浩一(https://1dcae.jp/profile/)
日本機械学会 設計研究会
本研究会では、“ものづくりをもっと良いものへ”を目指して、種々の活動を行っている。1Dモデリングはその活動の一つである。
- 研究会HP:https://1dcae.jp/
- 代表者アドレス:ohtomi@1dcae.jp
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