JIMTOF2022の最大ブースでマザックが示す、近未来の工場運営の在り方とは:JIMTOF2022(2/2 ページ)
ヤマザキマザックは第31回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2022)」(2022年11月8〜13日、東京ビッグサイト)において、出展社として最大ブースを構えて横型マシニングセンタ「HCN-5000 NEO」など多くの新機種、ソリューションをアピールした。
新開発のMAZATROL DXが見積もりを自動化
デジタル化に関しては、新たに開発したソフトウェア「MAZATROL DX」を紹介した。以前からヤマザキマザックはオフィスのPCで加工のプログラミング作成、加工条件の追い込みなどを行い、現場での段取りを0に近づけるデジタル段取りを提唱してきた。MAZATROL DXはデジタル段取りの機能を大きく拡張した。
特長の1つが「デジタル見積もり」だ。3Dモデルのデータを読み込ませることで、加工時間の算出などを行う。中小製造業では見積もりを経営者自ら作成していることも少なくない。これまでの経験や勘から工数や受注金額を算出するが、その工程をソフトウェアに置き換えることができる。ブースで放映されたデジタル見積もりのイメージ動画では「見積もり完了、今の稼働状況なら最短で翌日出荷可能」など、現場の状況を踏まえた表示をするシーンも映された。
また、「段取り指示セットアップガイド」も導入する。PC上の仮想空間と現場の状況は微妙にずれが生じることがある。付いているはずの工具が実際には付いていなかったり、工具やチャックの爪の取り付けも作業者によってばらつきが出たりするためだ。仮想の工作機械上でプログラムを組んでも、結局は手直しが必要になるケースがあった。
段取り指示セットアップガイドはそのずれが生じる前提で、どんな点を確認しなければならないかをリストにして表示する。工具の突き出し長さの計測やワーク、治具の取り付けなど、リストに従って作業することで、現場のデータをCNC側にフィードバックし、仮想空間と現場との相違をなくす。
「デジタルツインとしてオフィス上でプログラムを組んで効率化を図ることが提唱されているが、現場とのギャップは埋めがたい部分がある。そのギャップに対する工作機械メーカーならではの提案となる」(説明員)。MAZATROL DXは2023年4月からサブスクリプション型での提供を予定している。
日本でのEV量産見据えFSW向け機種も
FSW(高速摩擦攪拌接合)専用機として「FSW-460V」も展示した。FSWは摩擦熱で軟化させた材料を攪拌して接合する技術だ。従来機より接合精度と速度を向上させ、大量生産に対応した。EV(電気自動車)のモーターケース、バッテリーケース向けの利用を想定している。欧州、一部アジアなどではEVの部品加工へFSWの活用が増えており、「日本でも今後、EVの量産が立ち上がってくる。新しい加工方法が広まっていることを日本のユーザーにも伝えたい」(説明員)。
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