アルプスアルパインが自社製CI/CD開発環境を披露、カーナビ開発などで活用:CEATEC 2022
アルプスアルパインは、「CEATEC 2022」において、カーナビゲーションシステムやディスプレイオーディオなどの自社製品の開発で活用しているソフトウェア開発環境「ACiDS(AlpsAlpine Continuous integration and Deployment Suite)」を出展した。
アルプスアルパインは、「CEATEC 2022」(2022年10月18〜21日、幕張メッセ)において、カーナビゲーションシステムやディスプレイオーディオなどの自社製品の開発で活用しているソフトウェア開発環境「ACiDS(Alpsalpine Continuous integration and Deployment Suite)」を出展した。
ACiDSは、WebアプリケーションやITシステムの開発で広く用いられているCI/CD(Continuous Integration/Continuous Delivery:継続的インテグレーション/継続的デリバリー)フレームワークに基づくソフトウェア開発環境だ。車載ソフトウェアの規模は、自動車機能の進化に合わせて加速度的に大きくなっており、自社開発するソフトウェアモジュールやオープンソースソフトウェアの管理、それらの単体テストや結合テスト、ハードウェアへの実装なども含めて、多くの開発者が膨大な作業を行うことになる。
ACiDSは、CI/CDフレームワークに基づいて「GitHub」「Jenkins」「Redmine」などのツールを用いて行う開発からテスト、実装に至るまでのサイクルを、開発者の手を煩わすことなく自動で回すための仕組みになっている。「WebアプリケーションやITシステムとは異なり、組み込みソフトウェアの開発で取り扱うプログラミング言語やビルドツールなどは多岐にわたる。実装対象となるハードウェアもさまざまだ。この複雑な組み込みソフトウェアの開発プロセスにCI/CDフレームワークを適用するために開発した」(アルプスアルパインの説明員)。
ACiDSでは、ツール間の連携を行うだけでなく、実機テストの自動化ツール「ATAT(Alpsalpine Test Automation Tool) 3.0」や、テスト結果ログなどのデータ抽出と分析を自動化する「ATLAS(Alpsalpine Trace & Log Analysis Suite)」などの自社開発ツールも組み込んでいる。「自社製品の開発を効率化するためのものであり、製品開発のプロジェクトごとにACiDSの開発チームが入って最適に活用できるような活動も行っている」(同説明員)という。
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