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【DXで勝ち抜く具体例・その3】需給を拡大するビジネスDXによる製造業の進化(6)(2/3 ページ)

国内企業に強く求められているDX(デジタルトランスフォーメーション)によって、製造業がどのような進化を遂げられるのかを解説する本連載。第6回は、第2回で取り上げたDXで勝ち抜く4つの方向性のうち「需給を拡大するビジネス」の具体例として、Fictiv、Sharing FACTORY、Rentio、GMSの取り組みを紹介する。

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Sharing FACTORY――シェアリングと売却で遊休機器を収益化できる

 Sharing FACTORYは、2018年にスパークプラグやニューセラミックの製造を主とする日本特殊陶業の社内ベンチャーとして設立されました。他社の計測機器や工作機械などを使いたい製造事業者と、それらを貸したい製造事業者をマッチングするシェアリングサービスを提供しています。

 「試作や検査で自社にはない機器を使いたい」「自社の機器が急に壊れた」といったとき、他社の機器を一時的に利用できると便利でしょう。レンタル事業者にはない機器を安価に借りられるかもしれません。稼働率が低い機器を有する事業者からすれば、他社に貸すことで収益を得られます。

 Sharing FACTORYは、中古機器の売買を仲介するマーケットプレースも提供しています。そのため、稼働がほとんどない遊休機器を有する事業者は、貸し出しにより収益を得るか、売却した上で必要に応じて他社の機器を借りて使うか、最適な手段を合理的に判断できます。中古機器を買おうとする事業者からしても、シェアリングサービスを利用して事前に機器の状態や性能を直接確認できます。Sharing FACTORYは、シェアリングとマーケットプレースの2つの機能を提供することで、事業者がより総合的な意思決定を下すことに寄与しているのです。

Sharing FACTORYが提供する設備/計測器のシェアリングサービスの概要[クリックで再生]

Rentio――お試しで家電を使える

 Rentioは、家電のレンタルサービスを提供する日本のスタートアップです。2015年の創業後、カメラや高圧洗浄機などを一時的に使いたい人に貸し出すサービスを提供しています。2019年からは、それに加えて家電の購入を検討している人に新品をレンタルするサービスを開始しました。

 消費者からすると、レンタル料を支払う必要があるとはいえ、試しに使ってから購入を意思決定できます。購入費からレンタル料は差し引かれるため、ムダに費用がかかることはありません。

 店頭で現物に触れたとしても、キッチン家電で実際に料理をしてみたり、ロボット掃除機で家の隅々まできれいになるのかを確認してみたりといったことができないことを考えると、実用性をより正確に見極められます。返却することになっても、送料や違約金などはかかりません。

 この仕組みは家電メーカーにとっても有意義です。第一に「使えばよさが分かる商品」を売りやすくなります。高額な商品でもレンタルであれば手を出しやすいですし、使用してみた結果として購入に至る人もいます。レンタルという手軽な体験機会の提供は、販売の拡大に役立っているわけです。

 返却されたとしてもメリットはあります。Rentioは、購入した人だけではなく、返却した人にもアンケートでその理由を聞いており、その結果はメーカーに共有されるからです。メーカーからすれば「買わなかった人の生の声」を聞ける機会はほとんどなく、マーケティングの高度化に寄与する貴重なデータになります。

Rentioのビジネスモデル
Rentioのビジネスモデル[クリックで拡大]

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