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基地局を増やさずに電波を分配、DASがローカル5Gを低コストで柔軟構築CEATEC 2022

東芝は「CEATEC 2022」(10月18〜21日、幕張メッセ)において、ローカル5G向け分散型アンテナシステム「DAS(Distributed Antenna System)」の試作機を展示した。2023年度の市場投入を予定している。

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 東芝は「CEATEC 2022」(10月18〜21日、幕張メッセ)において、ローカル5G向け分散型アンテナシステム「DAS(Distributed Antenna System)」の試作機を展示している。2023年度の市場投入を予定している。

遮蔽物が多い環境でも安定した通信環境

 DASはローカル5基地局から届く電波を光ケーブルによって分配することで通信エリアを拡張する。ローカル5Gでは、高速大容量、低遅延、多接続などのメリットを持つ5Gを特定エリアで独自に運営することができ、高い安定性とセキュリティも実現する。

 工場などで多数のロボットやAGV(無人搬送車)、AMR(自律移動ロボット)を正確に制御し、スマートファクトリーを実現するためには、映像やセンサーなどの大量のデータをやりとりする必要がある。安定した通信環境の構築にローカル5Gは最適だが、ローカル5Gで使用される周波数は敷地内に遮蔽物が多いと通信が遮断されやすくなる。そこでDASを活用することで、届きにくい場所にも電波を届け、敷地外への電波の漏えいも防ぐことができる。1つの基地局で柔軟な電波環境が可能になる他、基地局のベンダーを問わず利用できるという。

 「人手不足が顕在化する中で、単純な運搬作業はAGVなどに任せて、作業者が本来の業務に専念する時間をできるだけ長く持ちたいというニーズが多い」(説明員)。プラントなどにおける点検を自動化するにあたって、ローカル5Gを活用するニーズも高いという。さまざまなアプリケーションを安定して稼働させるためのMEC(Multi-access Edge Computing)プラットフォームもクラウドサービスとして提供する計画だ。

分散型アンテナシステムのDAS
DAS(Distributed Antenna System)の親機と中継器[クリックして拡大]
DASの子機東芝のローカル5G向けサービス DASの子機(左)と、東芝が描くローカル5G向けサービス(右)[クリックして拡大]

ローカル5Gを用いた点検のニーズ

 東芝では2022年に府中事業所(東京都府中市)にローカル5G共創センター「Creative Circuit L5G」を設立し、ローカル5Gを利用した各種アプリケーションの実証実験を行っており、ブースではその模様も紹介している。

 また同年、東芝インフラシステムズとノキアソリューションズ&ネットワークス、首都高速道路で「ローカル5Gの都市内高速道路への展開に関する研究」を開始している。

 大規模地震が起こった際に、道路会社はいち早く道路を復旧させるために、破損した箇所などについての情報を集めなければならない。ただ、現状の自営回線では大容量のデータは送ることはできない。発見した亀裂が過去から存在したのか、もしくは新しく生じたものなのか、過去の点検データと参照しなければならず、道路会社は現場の状況を詳細に把握し、大量のデータをやりとりするための手段として、ローカル5Gに着目しているという。共同研究でもDASをカーブに設置して道路が直線ではないためローカル5Gの利用で不利なエリアにおける通信状況の検証を行う。


府中事業所の「Creative Circuit L5G」で行われているデモンストレーションの様子など[クリックして拡大]

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