欧州のデータ流通基盤と相互接続へ、車載バッテリーで日本発のエコシステム構築:電動化
NTTデータとデンソーは2022年10月13日、電動車のバッテリーに関するカーボンフットプリント情報などに関するデータを集める業界横断のエコシステム構築に着手したと発表した。
NTTデータとデンソーは2022年10月13日、電動車のバッテリーに関するカーボンフットプリント情報などに関するデータを集める業界横断のエコシステム構築に着手したと発表した。
経済産業省の補助事業である令和4年度「無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業費補助金(健全な製品エコシステム構築・ルール形成促進事業)」(カーボンフットプリント及びリユース・リサイクル並びにデータ連携基盤構築)に両社で応募し、正式に事業者として採択された。2024年に一部施行予定の欧州の電池規制を見据えて2023年度中の商用化を目指し、自動車産業や製造業向けの共通プラットフォームの検討に着手する。
両社で、電動車のバッテリーのサプライチェーン上のカーボンフットプリント情報の他、希少資源や人権への配慮状況(人権・環境デューデリジェンス)を見える化するデータスペースを実現できる仕組みを検討する。
カーボンニュートラルの達成や、人権デューデリジェンスの実現には、サプライチェーン全体でデータを正確に流通させる仕組みが求められる。国や地域の商習慣、法規制の違いの影響を受けないよう、欧州では「Gaia-X」、ドイツでは「Catena-X」といった、さまざまな企業や団体が相互にデータを流通させる仕組みが構築されている。
例えば、ドイツの自動車産業と取引する場合は日系企業もCatena-Xの利用が求められるが、カーボンフットプリント情報だけでなく、部品の原材料や受発注に関する情報などを海外のデータセンターに保管する必要が出てくる。企業秘密にかかわる情報の管理が日系企業にとってハードルとなりかねない。そのため、NTTデータとデンソーは、Gaia-XやCatena-Xと相互接続可能で、日本のポリシーで安全にデータを管理できる日本独自の仕組みを構築する。
NTTデータは、NTTコミュニケーションズとともに、大規模プラットフォームの構築や運用の実績を生かしてデータスペースを構築する。デンソーは、QRコードやブロックチェーン技術などを活用し、バッテリーなどフィジカルに存在するモノと、その個体に付随する電池の寿命や原材料などのデータを結び付け、データスペース上で安全に個体情報を管理できるようにする。構築した仕組みは、日本車のシェアが高いアジア諸国にも展開し、日本国外でも幅広く利用されるプラットフォームを目指していく。
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