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スピーカーのモデリング〜電気、機構、音響の連成問題、3つの現象を回路で表現〜1Dモデリングの勘所(12)(4/5 ページ)

「1Dモデリング」に関する連載。連載第12回では、スピーカーのモデリングを考える。構造/原理を確認して機能構造マップを作成し、これを基にモデリングする。その際、電気系、機構系、音響系の3つの系を回路で表現し、各系を結び付ける関係式を導出することにより、スピーカー全体系のモデリングを行い、電気系、音響系を機構系に縮約してスピーカーの伝達特性を導出する。最後に「Modelica」によるモデリング例を示す。

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評価例

 スピーカーの性能は入力に対する出力の関係、いわゆる伝達関数により表現される。伝達関数TFは図8下図において、表1の機構の変数と要素の関係より、

式12
式12

となるので、最終的に式13となる。

式13
式13

式14
式14
式15
式15
式16
式16
式17
式17

 ここで、スピーカーの諸元を図9のように定義する。機構部の摩擦インピーダンスは可動部(機構部)のQ値が20になるように定義している。また、可動部(機構部)のみの固有振動数は20Hzである。

スピーカーの諸元
図9 スピーカーの諸元[クリックで拡大]

 図9の諸元を用いて計算を行うと以下の結果が得られる。

式18
式18
式19
式19
式20
式20
式21
式21

 一方、全体系の固有振動数は、

式22
式22

となり、これから、

式23
式23

となり、最終的に全体系のQ値は、

式24
式24

となる。

 以上から、機構部のみではQ=20で固有振動数で大きなピークを有するが、全体系ではQ=0.6となり、フラットな音響パワー特性を有することが確認できる。また、固有振動数も機構部のみの20Hzから、音響マスの効果により19.1Hzと若干低下している。

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