境界条件非線形性をもたらす接触と追従荷重について理解する:いまさら聞けない 非線形構造解析入門(5)(3/4 ページ)
多くの3D CADではオプションとしてCAE機能が用意されているが、多くの方が「線形解析」での利用にとどまっており、「非線形解析」にまで踏み出せていない現状がある。本連載では、構造解析でも特に非線形解析にフォーカスし、初心者向けに分かりやすくその特長や活用メリットなどを紹介する。連載第5回では、3つの非線形性のうちの最後の1つ「境界条件非線形性」について取り上げる。
追従荷重について
次に、追従荷重(従動荷重)の概要についても触れておきます。
図3のように、「SOLIDWORKS Simulation」を用いて、圧力という形でビームの上面に一様に0.1MPaの圧力を載荷してみたいと思います。圧力のような分布荷重の場合には、指定した面(CADのジオメトリ上の面、または要素の面)上に載荷した分布荷重をソフトが内部的に等価節点荷重に置き換えて該当する節点に配布します。その際、節点に割り当てられる外力は、面に鉛直に荷重が載荷されるように、荷重の大きさや向きが調整されます。線形弾性解析のように変位が非常に小さい(変形量が小さい)場合には、このままの設定でもよいのですが、非常に変形が大きい場合にはどうでしょうか。
圧力がかかる面の変形が大きい場合には、変形とともにその荷重の向きも変わらないと、実際の状況を表しているとは言い難いところがあります。ただし、解析ソフトにもよりますが、圧力に対して追従荷重のオプションを設定しないと、荷重の向きが形状に追従しないことになります。「追従荷重なし」だと、特に変形量が大きい場合などには、変形の状態そのものが変わってきますし、応力の分布、あるいは拘束部の圧力なども大きく異なってきます。今、自分が使っている外力とジオメトリの変形についての関係も意識して、結果が妥当であるかどうかを考えてみることも必要です。
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