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地道な「稼働率向上」の積み重ねこそが機械設備の生産性向上に欠かせない生産性向上のもう一つのキモは、設備管理の徹底にあり(6)(1/3 ページ)

工場の自動化が進む中でより重要性を増している「設備管理」について解説する本連載。第5回は、機械設備の生産性向上に関する考え方となる「設備稼働率」について解説する。

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 今回は、機械設備の生産性向上に関する考え方として「設備稼働率」について取り上げます。一般的に生産性は、どれだけ効率よく生産されたかを判断するための指標として使われますが、それを機械設備の稼働率向上という側面から、考えてみたいと思います。

⇒連載「生産性向上のもう一つのキモは、設備管理の徹底にあり」バックナンバー

1.製造業の生産性評価

 生産活動の評価法として活用されているものに「生産性(産出量÷投入量)」による評価があります。作業改善や5S、システム化などによってムダを省き、作業効率を上げて生産性を高めようとする場合、その成果を確認する方法として、改善前の生産性と改善後の生産性を数値により比較する必要があります。

(1)3M生産性

 製品を製造する際に投入される3つの生産資源(3M:原材料、機械設備、労働力)ごとに、次の式によって原材料生産性、機械設備生産性、労働力生産性を計算します。

  • 原材料生産性=生産量÷原材料使用量
  • 機械設備生産性=生産量÷機械設備台数
  • 労働力生産性=生産量÷人員数

 また、この原材料、機械設備、労働力の投入量の単位をそろえることで、総合生産性を計算することができます。総合生産性の指標としては、次の2種類の算出式で計算します。

  • 総コスト生産性={(原材料+機械設備+労働力)のコスト}÷生産量
  • 総労働力生産性={(原材料+機械設備+労働力)の労働量}÷生産量

(2)操業度

 操業度は工場全体の設備能力の利用度合を示すもので、標準生産量に対する実際生産量の割合(実際の生産量÷標準生産量)で示します。製造の予算編成の見直しや機械設備の投資の見通しを立案した場合などには、操業度が重要な要素となります。

(3)良品率

 良品とは、規格に合致した製品のことをいいます。従って、良品率は、検査した製品における良品の割合をいいます。ちなみに、良品率を直行率ともいいます。生産計画では、プロセス全体の正常な作業状態における不良率(1−良品率)を見込んで仕込み数を計算します。

  • 良品率=良品数÷完成数
  • 仕込み数=予定生産量×(1+不良率)

(4)歩留まり率

 歩留まり率は、材料の消費有効度合いを示すもので、原材料を加工したときに、原材料の消費量に対する製品の出来高との比率(製品重量÷材料重量)で表します。歩留率は100%以下の数値となり、少なくなった分は製造工程中の目減り、ロスの発生、不良品の廃棄などによっても生じます。

(5)稼働率

 稼働率は、工程や職場別などの個人またはグループ、個々の機械設備または一群の機械設備が、どの程度有効に利用されているかの指標となるものです。

 ほとんどの稼働率の算出方法は、作業時間からみた計算で、実際に作業をしている時間を稼働時間といい、稼働率は総時間当たりの実際稼働時間の比率(実際稼働時間÷総時間)で計算します。

 特に今回は、機械設備の効率向上を目的として「機械設備の稼働率」という視点でいろいろな側面から説明を加えていますので、3の(3)「機械設備の稼働を妨げる要因」に挙げる6項目を参考にしてください。

(6)作業能率

 作業能率は、作業者一人一人の能率のことで、作業者の能力と努力によって変化します。作業能率は実績工数と計画工数の比率(計画工数÷実績工数)で計算します。計画工数は、生産数に1個当たりの標準作業時間(ST:Standard Time)を乗じて計算します。実績工数は、実際にその作業に費やされた時間で、作業日報などによって把握することができます。

 総合能率(労働効率)は、稼働率と作業能率をかけ算した(稼働率×作業能率)もので、この能率を向上させることを重要な課題としてとらえなければなりません。

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