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国内製造業のカーボンニュートラルへの対応は二極化、官民での取り組みが加速ものづくり白書2022を読み解く(3)(3/5 ページ)

日本のモノづくりの現状を示す「2022年版ものづくり白書」が2022年5月に公開された。本連載では3回にわたって「2022年版ものづくり白書」の内容を掘り下げる。第3回ではDXのカギとなるデジタル人材の確保や育成に加えて、世界的に注目されているカーボンニュートラルへの取り組みを掘り下げたい。

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デジタル人材の教育

 これまで見てきたように、デジタル技術を使いこなすための知識や技術を身に付け、新たな価値を生み出せる人材が日本では求められている。文部科学省はこのような人材を育成するため、モノづくり分野において、デジタルトランスフォーメーション(DX)など成長分野を中心に、変化に対応でき、新たな価値を生み出す人材を量、質ともに充実させる取り組みを積極的に進めている。

DXなどの成長分野における人材育成

 政府は数理、データサイエンス、AI(人工知能)教育のモデルカリキュラムや各大学などの取り組みを全国へ普及、展開させるためのコンソーシアム活動や、大学院教育におけるダブルメジャー(複数専攻)などを推進する。産業人材育成を担う専門高校においては、中核となって取り組みを行う専門高校を「マイスター・ハイスクール」に指定して、専門高校とその設置者、産業界、地方公共団体が一体となって地域の持続的な成長をけん引する人材育成に資するよう教育課程などの刷新を目指す(図10)。


図10:事業イメージ[クリックして拡大] 出所:2022年版ものづくり白書

 さらに、大学や専門学校などが企業や自治体と連携して、DXなどの成長分野に関してリテラシー(教養)レベルの能力取得やリスキリングを実施するといった、社会のニーズに合ったプログラムを支援している。


図11:事業イメージ[クリックして拡大] 出所:2022年版ものづくり白書

モノづくり人材を育む教育基盤の充実

 日本のモノづくりの次世代を担う人材を育成するためには、モノづくりへの関心や素養を高める小学校、中学校、高等学校での特色ある取り組みの実施、大学における工学系教育改革、高等専門学校における人材育成など、モノづくりに関する教育の一層の充実が必要となる。今後の教育課程においては、公立小中学校のデジタル環境整備を行うGIGAスクール構想や、高校における情報科(情報I・II)授業の導入などを通じて、最新のデジタル技術の知識やプログラミングなどのデジタル教育を推進する。

 また、5年一貫の専門的、実践的な技術者教育を特徴とする高等専門学校は、機械工作技術などの「モノづくり」の技術に加え、近年はAI、ロボティクス、データサイエンスなどにも精通した人材を輩出し、産業界から高く評価されている。文部科学省としても、社会的要請が高く、人材不足が深刻化しているサイバーセキュリティ分野の人材育成など、高等専門学校教育の充実に向けた取り組みを進めている(図12)。


図12:高等専門学校の人材育成の状況[クリックして拡大] 出所:2022年版ものづくり白書

 デジタル推進人材の不足は、世界における日本の競争力低下に直結する。若い世代の育成、社会人のリカレント教育など、あらゆる方面からデジタル推進人材の育成に取り組む必要がある。

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