国内製造業のカーボンニュートラルへの対応は二極化、官民での取り組みが加速:ものづくり白書2022を読み解く(3)(2/5 ページ)
日本のモノづくりの現状を示す「2022年版ものづくり白書」が2022年5月に公開された。本連載では3回にわたって「2022年版ものづくり白書」の内容を掘り下げる。第3回ではDXのカギとなるデジタル人材の確保や育成に加えて、世界的に注目されているカーボンニュートラルへの取り組みを掘り下げたい。
デジタル人材を目指す社会人の学び直しを支援
現役の社会人が企業が求めるデジタル人材となるためには、リスキリング(学び直し)が重要となる。2022年版ものづくり白書では、リスキリングに当たっては、DX推進のための組織変革に関するマインドセットを理解、体得した上で専門的なデジタル知識、能力を身に付けることが必要だと指摘している(図6)。
このような状況の中、全てのビジネスパーソンに求められるデジタルリテラシーと専門的なデジタル知識の学習機会を提供するため、経済産業省は「デジタル人材育成プラットフォーム」として、デジタル学習コンテンツなどを紹介するポータルサイト「マナビDX」を2022年3月に公表した。
また、2017年7月には経済産業大臣が認定する「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」を設立し、ITやデータなど将来の成長が強く見込まれる分野に関する専門的、実践的な教育訓練講座を継続的に運用している(図7)。
同認定を受けた講座のうち、認定後の3年間において厚生労働省が定める一定の基準を満たし、専門実践教育訓練として厚生労働大臣の指定を受けた講座は、開講する企業や受講者に対する支援制度を利用できる(図8)。2022年4月までに、「クラウド、IoT、AI、データサイエンス」「ネットワーク、セキュリティ」「IT利活用分野(自動車モデルベース開発分野、自動運転分野、生産システム設計分野)」の各分野で、合計125講座が認定されている。
このように、社会人がデジタル人材としての学びを得る環境は整えられつつあるが、製造業において企業が最も重要と考える能力やスキルをみると、「チームワーク、協調性・周囲との協働力」「職種に特有の実践スキル」が上位に並び、「専門的なITの知識・能力(システム開発・運用プログラミング等)」は低くなっている(図9)。今後のDXを見据え、企業側もより一層デジタル人材の重要性を認識すべきといえる。
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