九州大学がFEM解析ソフトウェアを採用、直感的な3Dモデリング機能を搭載:CAEニュース
Hexagonは、「MSC Apex」が九州大学での講義や実習など向けの学習ツールに採用されたと発表した。直感的なモデル作成ができ、解析実施から結果の表示も容易なため、学生向けに最適な入門ツールになると評価している。
HexagonのManufacturing Intelligence divisionは2022年8月31日、同社のCAE環境を提供するソフトウェア「MSC Apex」が、九州大学での講義や実習など向けの学習ツールに採用されたと発表した。同大学ではFEM(有限要素法)の講義に力を入れており、大規模で複雑な構造解析に取り組めるエンジニアの育成を目指している。
同大学 工学部 船舶海洋工学科での講義「構造解析演習」では、材料力学、構造力学、振動工学の実問題を解く手法として、FEMについて講義し、数値シミュレーションの基礎を学んでいる。また、大学院工学府での異分野科目「船舶海洋工学B」では、船舶の構造様式の概要を理解すること目的に、FEM解析モデルの作成と応力解析を実施している。
従来これらの講義では、Hexagonの「Patran」「MSC Nastran」を利用していたが、より使いやすく実践的な実習ができる「MSC Apex」の導入を決定した。直感的に使える3Dモデリング機能を搭載し、解析モデリングに要する時間を大幅に短縮することで、FEM解析の学習を重点的に進められる。
大型船舶の設計規則の中でもFEM解析に基づく強度評価が必須になるなど、学生にとってFEM解析の重要性が高まっている。九州大学ではMSC Apexを、手間の掛かるモデル作成を直感的にでき、解析実施から結果の表示も容易なため、学生にとっては最適な入門ツールと評価している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- カシオが電子キーボードの鍵盤構造の変更にCAEを活用、その効果と展望
電子楽器開発で40年以上の歴史を誇るカシオ計算機は、グリッサンド奏法の操作性を維持するために採用してきた旧来の鍵盤構造を見直すべくCAEを活用。新たなヒンジ形状を導き出し、作りやすい鍵盤構造を実現することに成功した。その取り組み内容とCAE活用の展望について担当者に話を聞いた。 - フォークボールはなぜ落ちる? スパコンによる空力解析で謎を初めて解明
野球のピッチャーの決め球、フォークボールはなぜ落ちるのか? これまでボールの回転数が少ないことで自然落下による放物線に近い軌道を描くとされていたが、東京工業大学 学術国際情報センター 教授の青木尊之氏を代表とする研究チームがスーパーコンピュータ「TSUBAME3.0」による数値流体シミュレーションを実施し、その謎を初めて解明した。 - 「富岳」で新型コロナ飛沫の大量計算を実施、感染リスクはどこにある?
理化学研究所のスパコン「富岳」を用い、コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する飛沫の飛散シミュレーションが実施されている。理化学研究所が独自開発する流体シミュレーションソフトウェア「CUBE」による飛散シミュレーションの概要、注目すべき結果などについて、理化学研究所 計算科学研究センター チームリーダー/神戸大学大学院システム情報学研究科 教授の坪倉誠氏に話を聞いた。 - ヤマ発が語る、バイク開発に不可欠な「ほこり入り解析」の新手法とその妥当性
ヤマハ発動機は、オンラインイベント「3DEXPERIENCE CONFERENCE JAPAN 2020 ONLINE」において、「モーターサイクルのほこり入りCFD解析について」と題し、CFDソリューション「PowerFLOW」をモーターサイクル(オートバイ)開発に適用した取り組みについて紹介した。 - シミュレーション主導設計の実現に向けた八千代工業の挑戦
八千代工業は、ダッソー・システムズ主催の「Dassault Systemes User Conference 2019」において、「CATIA、Abaqus、Isightを使った樹脂製燃料タンクの最適設計技術の構築と設計者展開」をテーマに講演を行った。 - 仮想実験室からデジタルツインへ、富岳が実現する自動車業界のCAEの形とは
ヴァイナスのユーザーイベント「VINAS Users Conference 2019」で、理化学研究所 計算科学研究センター・神戸大学大学院システム情報学研究科 計算科学専攻 チームリーダー・教授/博士(工学)の坪倉誠氏が登壇し、「HPCシミュレーションとデータ科学の融合による新たな自動車空力について」をテーマに講演を行った。