データ出力困難な古いメーターをIoT化、ソフトウェア版追加で選択肢拡大:スマートファクトリー
ソフィックスは操作パネル画像認識システム「SOFIXCAN Ω Eye(ソフィックスキャンオメガアイ)」のソフトウェア版「SOFIXCAN Ω Eye for Windows」をリリースすると発表した。
ソフィックスは2022年9月6日、オンライン展示会「ITmedia Virtual EXPO 2022 秋」(会期:2021年8月30日〜9月30日)の新製品発表会において、操作パネル画像認識システム「SOFIXCAN Ω Eye(ソフィックスキャンオメガアイ)」のソフトウェア版「SOFIXCAN Ω Eye for Windows」を同年9月中にリリースすると発表した。2022年中をめどにクラウド版も発売する。
1つのカメラ画像でデータ化困難な古い機器のメーターを20カ所認識
SOFIXCAN Ω Eyeは、データ化が困難な古い機械の数値やアナログメーターの表示をカメラで撮影して、画像認識技術によってデジタルデータに変換するソリューションだ。カメラで撮影するため、対象の機器に新たに配線を接続するなどの改造は必要なく、メーカー保証への影響がない。また、データはCSV形式で出力できる。
針が円形に回転するアナログメーターや7セグメントで数値が表されるデジタルメーター、画面に表示された文字や数字、記号の他、フロートメーターやバーグラフメーターなどの直線型メーター、ランプがデータ化可能となっている。認識範囲はマウス操作などで指定でき、1つのカメラ画像の中から最大で20カ所まで認識できる。撮影範囲に複数のメーターがあっても同時に認識する。ただ、データ化したい対象物が、画像処理によって認識できるほどに鮮明に撮影できている必要がある。
対象機器の正面にカメラを設置するのが難しい場合、斜め上などに固定すると画像が台形になってしまうが、4つのマーカーを対象範囲の四隅に張り付けることで領域を自動認識し、正面から見た画像に補正する。さらに、機械が振動してカメラが揺れても、4つのマーカーからカメラの手振れ補正機能のように自動で座標を補正して認識する。
ソフトウェア版でハードウェアの選択肢拡大
ソフィックスは、撮影カメラやカメラの固定器具、SOFIXCAN Ω Eye本体などで構成されるハードウェアセット版を2016年から販売してきた。
同社 IoT事業開発部 プロダクト課 課長代理の大木宏志氏はソフトウェア版のリリースにあたって「さまざまな環境の工場がある中で、現状のハードウェアでは導入に難色を示される企業もあった。指定の機器で動作するようカスタマイズも行っていたが、開発費が掛かってしまう。ソフトウェア版の提供により、現場に合わせたハードウェアが選択しやすくなる」と語る。
SOFIXCAN Ω Eye for Windowsのライセンス形式は、基本ライセンスと追加ライセンスの2種類がある。基本ライセンスはカメラ1台の接続が可能で、複数台のカメラを接続したい場合は追加ライセンスを購入する必要がある。カメラはGigE(Gigabit Ethernet)カメラとUSBカメラが選択でき、追加ライセンスの契約数に上限はないが、USBカメラはマザーボードにあるUSBポートの数しか接続できず、GigEカメラには接続数に制限はない。
価格は基本ライセンスが19万8000円、追加ライセンスはカメラ1本で3万円、10本で25万円、50本で100万円、100本で150万円(いずれも税抜き)となっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- スマート工場化は次段階へ、AI活用の定着とアプリケーション拡大に期待
スマート工場化の動きは着実に広がっている。その中で2022年はAIを活用した「アプリケーションの拡大」をポイントにデータ活用のさまざまな形が広がる見込みだ。 - スマート工場は“分断”が課題、カギは「データ取得」を前提としたツールの充実
工場のスマート化への取り組みは2020年も広がりを見せているが、成果を生み出せているところはまだまだ少ない状況だ。その中で、先行企業と停滞企業の“分断”が進んでいる。新型コロナウイルス感染症(COVID−19)対応なども含めて2021年もスマート工場化への取り組みは加速する見込みだが、この“分断”を解消するような動きが広がる見込みだ。 - スマートファクトリー化がなぜこれほど難しいのか、その整理の第一歩
インダストリー4.0やスマートファクトリー化が注目されてから既に5年以上が経過しています。積極的な取り組みを進める製造業がさまざまな実績を残していっているのにかかわらず、取り組みの意欲がすっかり下がってしまった企業も多く存在し2極化が進んでいるように感じています。そこであらためてスマートファクトリーについての考え方を整理し、分かりやすく紹介する。 - 人手作業のデータ化、ポイントは「自然に自動で」
成果が出ないスマートファクトリーの課題を掘り下げ、より多くの製造業が成果を得られるようにするために、考え方を整理し分かりやすく紹介する本連載。前回から製造現場でつまずくポイントとその対策についてお伝えしていますが、第6回では、人手さ作業のデータ化についてさらに掘り下げます。 - 古い機械や人手作業、データ化されていない情報をどうスマート化すべきか
成果が出ないスマートファクトリーの課題を掘り下げ、より多くの製造業が成果を得られるようにするために、考え方を整理し分かりやすく紹介する本連載。前回から製造現場でつまずくポイントとその対策についてお伝えしていますが、第5回では、「データ収集」についてのアプローチと、データ化が難しい部分の対策について解説していきます。 - 第4次産業革命を支える「簡単でシンプルなIoT」の意義
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説していきます。第15回となる今回は最近注目される「簡単でシンプルなIoT」についてまとめます。