アサヒ直営店の換気性能を評価、点群データからの3Dモデル化とCFDソフト活用で:CYBERNET Solution Live 2022(3/3 ページ)
サイバネットシステム主催「CYBERNET Solution Live 2022」の顧客講演に、アサヒクオリティーアンドイノベーションズ 解析科学研究所の佐藤英明氏が登壇し、「点群データを活用した3DモデリングとCFDによる換気性能評価」をテーマに、アサヒグループ直営店舗内における換気性能評価の取り組み事例を紹介した。
満席状態/半席状態/壁際のみ半席状態
フラムドールの満席状態では、流れが滞留している壁際において、二酸化炭素濃度が比較的高い結果に、半席状態では、満席時に比べ、二酸化炭素濃度が大きく低下したことが分かった。さらに、比較的二酸化炭素濃度の高い壁際のみを半席にした場合においては、席数を確保しながら、部屋全体の濃度上昇を抑えられることが分かったという。
一方、TOKYO隅田川ブルーイング2階の満席状態では、フラムドールと同様に壁際の二酸化炭素濃度がやや高い結果が得られた。また、半席状態でもフラムドールの結果と同じく、満席時と比較して二酸化炭素濃度が大きく低下した。そして、壁際のみを半席にした場合においても、フラムドールと同じように、席数を確保しながら、部屋全体の二酸化炭素濃度の上昇を抑えられることが確認できたとする。
加えて、TOKYO隅田川ブルーイング2階(壁際のみ半席状態)では、座席によってピンポイントで二酸化炭素濃度の高い場所(画像の赤丸部分)があることも分かった。これについて、該当箇所を側面から可視化したところ、テーブル表面付近の二酸化炭素濃度が高いことが確認できたという。さらに、速度ベクトルを可視化してみると、天面にある2つの排気口に空気が引き寄せられ、テーブル表面に緩やかな渦が形成されていることが分かった。「これが滞留の要因になったと考えられる。ただし、実際には人の動きは非定常的であり、このような滞留は発生しにくいと考えられるが、滞留と二酸化炭素濃度には関連性があると推察できる」(佐藤氏)。
まとめ
最後のまとめとして、佐藤氏は「3Dレーザースキャンと点群データ処理ソフトウェアの併用により、大規模な室内空間における3Dモデリングが可能であることが分かった。また、Ansys Discoveryによるリアルタイムシミュレーションにより、解析時間2分で流れ場を把握できた。解析の結果、壁際のテーブル表面の流れが停滞していることが分かった。そして、Ansys Fluentによって二酸化炭素濃度分布を可視化した。壁際において比較的濃度が高い結果が得られたが、壁際のみを半席とすることで、席数を確保しながら、部屋全体の濃度上昇を抑えられることが確認できた。本手法は、室内の換気性能評価手法として有用であることが示唆された」と述べ、講演を締めくくった。
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