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2022年下期の挽回生産へ、2022年6月は新車生産に回復の兆し自動車メーカー生産動向(1/3 ページ)

2022年上期(1〜6月)の自動車産業は、依然として半導体不足や部品供給網の混乱などが足を引っ張る格好となった。

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 2022年上期(1〜6月)の自動車産業は、依然として半導体不足や部品供給網の混乱などが足を引っ張る格好となった。

 日系乗用車メーカー8社合計の2022年上期の世界生産は、前年同期比6.0%減の1155万5703台と2年ぶりに減少に転じた。2021年上期が2020年の新型コロナウイルスの感染拡大に対する反動で増加したことも減少に転じた要因だが、コロナ禍前の2019年上期との比較でも約18%減にとどまっており、中国のロックダウンなどで混乱するサプライチェーンの実態が改めて浮き彫りとなる結果だった。

 一方で、自動車メーカーは、下期以降は半導体の供給体制が改善されると予測。2022年度通期の生産計画見通しも据え置いており、今後の挽回生産など自動車産業の本格回復への期待が高まっている。

→「自動車メーカー生産動向」のバックナンバーはこちら

 2022年上期の世界生産で前年実績を上回ったのはスズキとSUBARU(スバル)の2社のみという厳しい結果となった。特に国内生産は8社全てが前年割れとなり、8社合計は前年同期比14.3%減の342万60台と低迷した。これは半導体不足に加えて、中国のロックダウンによる部品供給難が国内生産にも大きな影を落とした。

 海外生産も同2.1%減の813万5643台と前年実績を下回ったものの、4社がプラスとなるなど国内生産と比較すると影響を軽微にとどめている。地域別に見ると、主要地域の北米が同9.2%減、中国が同5.8%減と落ち込んだが、感染拡大の影響が長引き回復が遅れていたインドネシアやタイ、フィリピンといった東南アジアやインドなどの好調が下支えした。

2022年1〜6月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 1,271,659 3,087,580 914,677 886,442 4,359,239
▲ 18.4 4.4 ▲ 7.2 9.9 ▲ 3.5
ホンダ 312,265 1,601,717 603,985 704,221 1,913,982
▲ 1.3 ▲ 11.8 ▲ 13.0 ▲ 10.4 ▲ 10.3
日産 233,679 1,364,915 462,383 560,644 1,598,594
▲ 17.9 ▲ 13.8 ▲ 13.3 ▲ 13.4 ▲ 14.5
スズキ 423,935 1,131,415 - - 1,555,350
▲ 6.1 9.5 - - 4.8
ダイハツ 408,661 374,773 - - 783,434
▲ 17.7 24.2 - - ▲ 1.8
マツダ 331,922 160,405 72,249 54,638 492,327
▲ 20.7 ▲ 12.9 4.5 ▲ 36.4 ▲ 18.3
三菱自 197,666 272,274 - 15,428 469,940
▲ 11.8 ▲ 6.4 - ▲ 49.7 ▲ 8.8
スバル 240,273 142,564 142,564 - 382,837
▲ 0.8 4.0 4.0 - 0.9
合計 3,420,060 8,135,643 2,195,858 2,221,373 11,555,703
▲ 14.3 ▲ 2.1 ▲ 9.2 ▲ 5.8 ▲ 6.0
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計

 足元では少しずつ回復の兆しも見え始めている。6月単月の8社合計の世界生産は、同0.8%増の212万2939台と4カ月ぶりにプラスへ転じた。これは6月以降、中国でのロックダウンが順次解除されたことが主な理由だ。海外生産は同6.0%増の149万6567台で、2カ月連続のプラス。北米は伸び悩んだものの、中国が同22.4%増とけん引した。一方、国内生産は同9.8%減の62万6372台と11カ月連続のマイナス。これはトヨタ自動車とダイハツ工業が半導体不足などにより2桁%減と大幅に落ち込んだことが要因で、メーカーによって明暗が分かれる状況となっている。

2022年6月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 206,373 587,005 161,382 205,496 793,378
▲ 29.9 9.3 ▲ 17.9 42.3 ▲ 4.6
ホンダ 66,223 321,433 111,709 162,363 387,656
2.2 13.3 ▲ 2.3 38.8 11.2
日産 46,990 247,145 69,669 112,136 294,135
32.0 ▲ 5.2 ▲ 11.9 ▲ 8.8 ▲ 0.8
スズキ 79,820 176,269 - - 256,089
28.2 ▲ 9.9 - - ▲ 0.7
ダイハツ 67,849 66,489 - - 134,338
▲ 17.8 62.6 - - 8.8
マツダ 73,286 30,959 16,176 8,940 104,245
1.3 16.5 44.0 ▲ 20.0 5.4
三菱自 35,036 47,718 - 2,559 82,754
10.6 10.3 - ▲ 57.9 10.5
スバル 50,795 19,549 19,549 - 70,344
0.5 ▲ 17.6 ▲ 17.6 - ▲ 5.3
合計 626,372 1,496,567 378,485 491,494 2,122,939
▲ 9.8 6.0 ▲ 11.0 22.4 0.8
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計

トヨタ自動車

 メーカー別に見ると、トヨタの2022年上期のグローバル生産台数は前年同期比3.5%減の435万9239台と2年ぶりに前年実績を下回った。要因は国内生産で、前年同期比18.4%減の127万1659台と低迷し、2年ぶりのマイナスだった。

 半導体不足や中国のロックダウンによる部品調達難に加えて、年初のオミクロン株の感染拡大や2月に発生した宮城・福島沖地震による調達先の被災、系列サプライヤーの小島プレスに対するサイバー攻撃など、さまざまな影響により、国内工場では度重なる稼働停止を余儀なくされた。その結果、国内販売ではモデルサイクルなどの関係から受注を停止する車種が増加し、新車ディーラーでは販売可能な車種が一部に限られるという状況が続いており、納期の長期化による事業への影響が深刻化している。

 一方、海外生産は、前年同期比4.4%増の308万7580台と2年連続のプラスで、上期として過去最高を更新した。地域別では、中国が能力増強や生産の最適化を図ったことで、同9.9%増と2年連続でプラスを確保。中国生産を行う5社では唯一のプラスだった。東南アジアも前年がロックダウンの影響で低迷した反動により伸長し、アジアトータルでも2年連続で増加した。一方、主力の北米は部品供給の逼迫(ひっぱく)が続き、同7.2%減と2年ぶりのマイナスだった。

 6月単月も、依然として国内外で明暗が分かれている。国内生産は前年同月比29.9%減の20万6373台と大きく落ち込み、4カ月連続のマイナス。落ち込み幅は8社の中で最大となった。要因は中国のロックダウンによる部品調達難が長引いているためで、複数の生産拠点で断続的な稼働停止に追い込まれた。

 国内が低迷する一方で海外生産は好調だ。前年同月比9.3%増の58万7005台と2カ月連続で増加し、6月として過去最高を更新した。主力の北米は、部品供給不足により同17.9%減と落ち込み、3カ月連続のマイナスだったが、中国はロックダウンの解除や前年の生産工場移管に対する反動増などにより同42.3%増と大幅に伸長し、8社中最大の伸びを見せて2カ月連続のプラス。

 アジアもインドネシアやタイ、インドなどがプラスとなり、アジアトータルでは同35.0%増となった。欧州は部品供給不足の影響が軽微だったことや前年がコロナ禍で低迷したこともあり、同12.4%増だった。海外生産がけん引したものの、国内生産の落ち込みをカバーするには至らず、6月のグローバル生産は同4.6%減の79万3378台と3カ月連続の前年割れとなった。

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