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2022年下期の挽回生産へ、2022年6月は新車生産に回復の兆し自動車メーカー生産動向(2/3 ページ)

2022年上期(1〜6月)の自動車産業は、依然として半導体不足や部品供給網の混乱などが足を引っ張る格好となった。

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ダイハツ工業

 トヨタグループのダイハツも同様の傾向を示した。2022年上期のグローバル生産は、前年同期比1.8%減の78万3434台と2年ぶりに前年実績を下回った。国内生産は、同17.7%減の40万8661台と2年ぶりに減少した。軽自動車、登録車ともに振るわなかった。半導体不足や中国からの部品供給が滞ったことで相次ぐ稼働停止を余儀なくされた。特に5月は前年比半減以下と厳しい状況となった。

 一方、海外生産は好調で、前年同期比24.2%増の37万4773台と2年連続のプラスで、上期として過去最高を記録した。新型車効果や前年のロックダウンに対する反動で、インドネシアが同20.3%増、マレーシアは同32.1%増と高い伸びを見せた。

 6月単月も国内生産は前年同月比17.8%減の6万7849台と低迷し、4カ月連続のマイナスだった。中国のロックダウンによる部品供給不足の影響が長引き、特に登録車の稼働停止が続いた。ただ、海外生産は好調で、同62.6%増の6万6489台と大幅に伸長し、11カ月連続のプラスで、6月として過去最高を更新した。インドネシア、マレーシアともに好調が続いている。海外の高い伸びにより、6月の世界生産も同8.8%増の13万4338台と2カ月ぶりにプラスへ転じるとともに、6月として過去最高の台数を記録した。

ホンダ

 ホンダも半導体など部品供給不足の影響が顕著に表れた。2022年上期のグローバル生産は、前年同期比10.3%減の191万3982台と2年ぶりに前年実績を下回った。特に厳しかったのが海外生産で、同11.8%減の160万1717台と2年ぶりのマイナスだった。

 最大市場の中国は、同10.4%減と2年ぶりに減少。コロナ禍からの回復で前年上期が高水準だったことに加えて、ロックダウンによる工場停止を余儀なくされ、特に4月は8割減と大幅な落ち込みを見せた。東南アジアは回復したものの、中国の低迷をカバーするまでには至らず、アジアトータルでも同4.9%減と2年ぶりのマイナスだった。

 中国と並ぶ主力市場の北米は、前年の挽回生産の反動の他、上期を通してサプライチェーンの混乱による影響を受け、同13.0%減と中国以上に低迷し、2年ぶりに減少した。

 2022年上期の国内生産は、前年同期比1.3%減の31万2265台と3年連続のマイナス。半導体不足や中国のロックダウンによる部品供給不足の影響があったが、月ごとの稼働率のバラつきが大きく、上期トータルでは微減でとどまった。国内最量販車種の「N-BOX」は2022年上期国内販売ランキングでトヨタ「ヤリス」を抑え2年ぶりの首位となるなど底堅い人気を示した。

 一方で、半導体不足による生産調整の影響は深刻で、2021年10月から受注を停止している「ヴェゼル」のハイブリッド車の上級グレード「PLaY」は、2022年8月にようやく期間限定で受注を再開できた程度で、不安定な供給体制は続いている。

 中国のロックダウン解除により、足元では回復傾向が顕著となっている。6月単月の世界生産は、前年同月比11.2%増の38万7656台と4カ月ぶりにプラスへ転じ、8社では最大の伸びとなった。海外生産が好調で、同13.3%増の32万1433台と4カ月ぶりのプラス。特に中国が同38.8%増とけん引し、4カ月ぶりに増加した。

 その結果、アジアトータルも同34.9%増と4カ月ぶりのプラスとなり、6月として過去最高を記録した。北米は同2.3%減と13カ月連続の減少だったが、米国が13カ月ぶりにプラスへ転じるなど改善傾向も見られた。

日産自動車

 日産自動車の2022年上期のグローバル生産台数は、前年同期比14.5%減の159万8594台と2年ぶりに前年実績を下回った。トヨタ、ホンダに次ぐ3位を保ったが、4位のスズキとの台数差は4万台強と小差だった。半導体不足の影響が深刻で、国内・海外ともに低迷した。

 国内生産は、同17.9%減の23万3679台で2年ぶりのマイナス。前年上期の国内向け「ノート」「ノートオーラ」、輸出向け「ローグ」などの新型車効果に対する反動もあるが、受注自体は依然として好調であり、半導体不足による生産調整の側面が大きい。

 海外生産も前年同期比13.8%減の136万4915台と低迷し、2年ぶりの前年割れ。8社の上期の海外生産では最大の減少幅だった。地域別では、「パスファインダー」「フロンティア」といった新型車を投入した米国は同5.1%増とプラスを確保したものの、メキシコは同28.3%減と厳しかった。ロックダウンの影響を受けた中国も、同13.4%減と低迷した。新型「キャシュカイ」を投入した英国は同6.1%増とプラスだった。

 日産も足元の状況は徐々に回復傾向を示している。6月単月のグローバル生産は前年同月比0.8%減の29万4135台と2カ月ぶりに前年実績を下回ったが微減にとどめた。貢献したのが国内生産で、同32.0%増の4万6990台と2カ月連続で増加し、8社の国内生産で最大の伸びとなった。国内向け新型「エクストレイル」や北米向けローグなどがけん引。これにより輸出も同30.2%増と伸長した。

 一方、海外生産は前年同月比5.2%減の24万7145台と12カ月連続のマイナス。新型車効果により米国が同4.9%増、英国が同65.5%増と好調だったが、メキシコが同25.0%減、中国が同8.8%減と主力拠点がそろって伸び悩んだ。

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