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鉄鋼曲面の吸着走行や壁面の着脱可能に、高所作業ロボットの開発に成功:FAニュース
住友重機械工業は、鉄鋼曲面の吸着走行ができる鉄鋼構造物用「高所作業ロボット」を開発した。2つの回転軸で回動する磁石を内蔵した中空の球状車輪を新たに考案し、これまで困難だった動作が可能になった。
住友重機械工業は2022年8月8日、鉄鋼曲面の吸着走行ができる鉄鋼構造物用「高所作業ロボット」を開発したと発表した。同社の「チャレンジ制度」に基づき、技術研究所で取り組んできた「重工製造現場向け作業ロボットの開発」の成果となる。
高所作業ロボットの機構として、2つの回転軸で回動する磁石を内蔵した中空の球状車輪を新たに考案。これまで困難だった、曲面形状の壁面の走行、壁面への着脱、壁と天井など2面の隅部の乗り越えといった動作が可能になった。
本成果は、2020年開催のロボット分野の国際会議「IEEE ICRA」で発表した基本原理に基づいており、その後、磁力や堅牢性の向上に取り組んだ。現在では、製造現場における点検、切断、アーク溶接への活用を進めている。
大型の鉄鋼構造物の製造現場では、曲面上や高所作業などの高度技能を必要とし、自動化が困難な作業が数多く存在する。高所作業ロボットの開発により、これまで人手に頼っていた曲面上での溶接作業などの自動化に対応でき、作業者の負担軽減や安全でスマートな重工製造現場の可能性が広がる。
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