2035年の電動車市場、HEVは北米と中国がけん引、EVは2021年比12倍に:電動化
富士経済は2022年8月9日、電動車の2035年の市場予測を発表した。2035年にハイブリッド車(HEV)が2021年比4.0倍の1536万台、プラグインハイブリッド車(PHEV)が同4.2倍の783万台、電気自動車(EV)が同12.0倍の5651万台に増加すると見込む。
富士経済は2022年8月9日、電動車の2035年の市場予測を発表した。2035年にハイブリッド車(HEV)が2021年比4.0倍の1536万台、プラグインハイブリッド車(PHEV)が同4.2倍の783万台、電気自動車(EV)が同12.0倍の5651万台に増加すると見込む。なお、HEVにマイルドハイブリッド車は含まない。超小型モビリティも除く。
2021年はコロナ禍でのロックダウン(都市封鎖)や半導体不足の影響があったものの、電動車(HEV、PHEV、EV)の販売は増加した。グローバルでの新車販売に占める電動車の比率は13.9%となり前年から5.0ポイント増加した。今後、環境規制対応でEVの普及が進み、2035年にはEVが新車販売の57.1%を占めると予測する。
足元のHEVの販売は日系自動車メーカーのシェアが8割強となっている。地域別に見ると日本や北米の需要が中心だ。HEVは2026年まで各エリアで増加し、同年がピークとなる。2030年以降は中国や北米がHEVの市場をけん引すると見込む。中国では2035年をめどに新車販売を「環境対応車」のみとする方針で、そのうち50%をHEVと定めているためHEVの伸長が見込まれる。北米の他、ASEANでもHEVのニーズが伸びる。日本でのHEVのニーズは2030年がピークで、その後EVへの移行が進むという。
PHEVの現在のシェアは欧州と中国の自動車メーカーで8割を占める。欧州で需要が先行しており、中国がそれに続いているためだ。PHEVはゼロエミッション車への橋渡し役として2030年まで市場拡大が見込まれるが、欧州自動車メーカー各社は2030年以降にエンジンを搭載した車両の生産終了を予定していることからEVへの移行が進む。中国でも、充電環境が改善してPHEVからEVへの乗り換えが進むという。欧州や中国ほど充電環境が整備されていない日本と米国では、環境車の1つとして市場拡大が継続するという。
足元のEVの販売をけん引するのも、欧州と中国だ。2021年におけるグローバルでのEVの新車販売台数は469万台で、中国は欧州の2倍以上となる268万台が売れた。中国での新車のEV比率は12.5%となった。
今後のEV販売も欧州と中国が中心となる。中国では2022年に新エネルギー車への補助金制度が終了するが、日本円で100万円を下回る安価なモデルの増加や電圧800Vの超急速充電の展開、走行距離が1000kmを超えるモデルやバッテリー交換式のモデルの登場などにより、補助金に頼らない市場の活性化が見込めるという。
その他の地域では、北米は補助金政策によってEVの新車販売が増加すると見込む。新興国では中国自動車メーカーがEVで参入して2030年以降にコンパクトカーのセグメントのEV需要が拡大する。日本では車種の豊富さや車両価格でHEVの需要が根強いため、EVへの切り替えは段階的に進むとみられる。
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