OTとITのノウハウを注入したDXを、横河デジタルの新たな挑戦:製造業×IoT キーマンインタビュー(2/2 ページ)
横河電機は2022年7月1日に、製造業の経営から現場までを見渡したDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する経営コンサルティング企業である横河デジタルを設立。同年10月1日から営業を開始することを発表した横河デジタルの代表取締役社長となった鹿子木宏明氏と、横河電機 フェローで横河デジタルの取締役に就任した勝木雅人氏に話を聞いた。
測る力とつなぐ力の融合目指す
MONOist 具体的にどのような提案を行っていきますか
鹿子木氏 顧客の経営課題を丁寧に聞き、それに合ったDXの仕組みを提案したい。
例えば、横河電機では2022年に世界で初めてAIによる自律制御で化学プラントを35日間連続制御することに成功しているが、そういった改善点の発見から、データの解析、それに基づく最適な制御までをAIが行う自律操業改善ループの提案もできる。
顧客が製造計画や生産管理の最適化が優先であれば、横河グループではスケジューラーや生産管理システム、製造管理システム、さらに品質に関わる分析、設備保全など、あらゆるシステムを持っているので、これらを統合した形の提案もできる。
勝木氏 在庫管理パッケージでは、市場の変化に合わせて最適在庫水準を提示し、それを基に補充の量とタイミングをガイダンスする。
通常、企業は需要を予測して生産計画を立てる。ただ、予測が外れて過剰在庫を持てば利益における損失になり、逆に欠品を起こせば機会損失になる。そのために予測精度を高めようとするが、本来の目的は常に需要に合わせて過剰在庫も欠品も起きない状態にすることだ。
何を、どこへ、いつまでに、どれくらい補充すべきかを示すことで、予測による計画ではなく生産を確定することができる。生産を確定できれば、原材料はどうするか、どの設備を使うか、誰を割り当てるかなど全部前段取りができるようになる。設備の点検もしっかりでき、故障も回避できる。在庫最適化ができれば工場のスマート化が一気に進む。
日本では労働人口が2050年までに2614万人減ると見込まれている。ただ見方を変えれば、うまく仕組みを変えて今まで通り製造できれば、2614万人分の雇用費用が利益になる。
MONOist 現状の人員規模と今後の事業計画を教えてください。
鹿子木氏 まずは、横河電機でAIの研究開発や製品開発をしていたメンバーの一部と、DXの支援や整備に従事してクラウドアプリケーションなどを開発していたメンバーの一部を合わせた40人ほどでスタートした。
2023年度には、グループ会社から情報系ソフトウェア企画、開発機能とコンサルティングスキルのあるメンバーを集め、外部採用も含めて400人規模に拡大する予定だ。
売上計画としては、2026年度に横河デジタル単体で300〜400億円規模を目標としている。そのためには横河デジタルだけではなく、横河グループや外部のコンサルティング会社ともアライアンスを組みながら進んでいきたい。プロセス産業だけでなく、加工組立産業にも広げて、いずれは日本で生まれたDXソリューションを海外にも展開したい。
勝木氏 横河電機は測る力を持っている。そこに横河デジタルのつなぐ力によって、価値ある情報を結び付け、顧客とともにさらに高みに向かっていきたい。
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