ティーチング要らずの自動溶接システム、協働ロボットに初めて展開:国際ウエルディングショー
リンクウィズは「2022国際ウエルディングショー」(2022年7月13〜16日、東京ビッグサイト)において協働ロボットを使った自動溶接システムを展示した。
リンクウィズは「2022国際ウエルディングショー」(2022年7月13〜16日、東京ビッグサイト)において、協働ロボットを使った自動溶接システムを展示した。
熟練技術者の高齢化や労働力不足を抱える溶接業界において、自動化の推進は急務となっているが、工場内のスペースが限られるため導入をためらう企業も多い。そこで、リスクアセスメントを行うことで安全柵を設ける必要がない協働ロボットが注目されている。会場では、同社のティーチングデータ自動生成および補正機能付きロボットコントロールシステム「L-ROBOT」と、協働ロボットによる板金溶接現場への導入を想定したデモンストレーションが行われた。今回は移動が簡単なワゴン型で出品した。
これまで産業用ロボット向けに自動化システムを手掛けてきたが、協働ロボット向けは今回が初めて。「協働ロボットの引き合いは増えている。顧客の反応も産業用ロボットより良い。従来の産業用ロボットならセンサーや安全柵を設ける必要があり、工場に導入したいけど置くスペースがないというケースがあった。協働ロボットなら柵が要らず、安全性も高い。産業用ロボットに比べてコストも抑えられる」(リンクウィズ)。
L-ROBOTでは、アームに取り付けたセンサーで3Dスキャンしたデータを基に、動作軌道(パス)を自動生成してロボットへ転送する。後はPC上で転送されたパスを確定するだけで、ティーチング座標を生成できる。また、スキャンデータからワークの特徴や設置位置のずれを自動で認識する。部品と部品の隙間を溶接する場合でも、3Dスキャンで隙間の大きさを算出し、それに合わせた溶接を行える。「隙間が空いたワークでもきれいに溶接ができる。隙間が大きすぎた場合には溶接のキャンセルもできる」(リンクウィズ)。
その他、インライン向け3Dロボット検査システム「L-QUALIFY」による、レーザー溶接ビードの外観検査のデモなども行われた。
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