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ロボットに3Dの“目”を持たせて品質検査を自動化、リンクウィズの挑戦と課題羽田卓生のロボットDX最前線(2)(1/4 ページ)

「ロボット×DX×工場」をテーマに、さまざまな領域でのロボットを活用したDXの取り組みを紹介する本連載。第2回は、3Dスキャナーを産業用ロボットの“目”として活用するためのソフトウェアを開発するリンクウィズを取り上げる。品質検査の省人化に貢献するソリューションだが、本格的な導入を進める上ではいくらか課題も残されているようだ。

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 本連載では、「ロボット×DX×工場」をテーマに、FA(ファクトリーオートメーション)向けのロボットを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みや動向を取材して、国内製造業の現在と未来を紹介する。

⇒「羽田卓生のロボットDX最前線」バックナンバーはこちら

 第2回は産業用ロボット向けソフトウェアシステム開発会社である、リンクウィズ 代表取締役の吹野豪氏に話を聞いた。リンクウィズは、産業用ロボットと3Dスキャナーを使い、従来人の目視で行っていた検査工程のシステム化を行う企業である。“目”に見立てた3Dスキャナーとロボットを連携させることで、不良品を高精度かつ自動で検出するロボットシステムを実現する。

 人手不足が深刻な製造業の現場で求められるシステムに思えるが、実際に導入するには生産現場に合わせて運用方法を工夫する必要があるようだ。今回は特別にリンクウィズの製品導入先である平岡ボデーを取材させてもらい、同社 次世代技術室 室長の佐野明俊氏に“実際のところ”の話も伺うことができた。


リンクウィズ 代表取締役の吹野豪氏

ロボットシステムの“体”と“目”をつなぐ、“知能”を開発する企業

 リンクウィズは産業用ロボットと3Dスキャナーを使って、目視検査の代わりに自動的に製品の形状検査を行うシステム「L-QUALIFY(エルクオリファイ)」を開発している。従来の形状検査作業は目視が主流だったが、この工程を自動化することは多くの製造業者にとって大きな課題となっていた。

 一言で言えば、リンクウィズはロボットの“体”と“目”を連携させるソフトウェアを開発する企業である。一般的に産業用ロボットシステムは(1)入力(インプット、センシング)、(2)知能(判断、アルゴリズム)、(3)駆動(ハードウェア)といった構成要素に大別できる。このうちリンクウィズが開発しているのは「知能」の部分に相当する。

 部材を直接操作する“体”に当たる産業用ロボットと、外部環境を認識するための“目”に当たる3Dスキャナーを「知能」で結び付けて、1つのシステムとして統合。これによって外部環境の状況や変化に対して、柔軟に対応できるロボットシステムを実現する。


L-QUALIFYの構成要素。リンクウィズはソフトウェアの開発を行う[クリックして拡大]

 吹野氏によると「いままでの産業用ロボットは“目”に当たる機能を持っておらず、既定の動作を繰り返すだけだった。センサーを付けることで、作業に対してアダプティブに対応できるようになる。3Dスキャナーなどで取得したデータはシステム上に記憶できる仕組みで、検査結果を後から検証する際にも役立つ」と説明する。

 なお、L-QUALIFYで使用する産業用ロボットや3Dスキャナーは、ファナックやキーエンスなどが販売する既製品である。これは、独自のロボットやスキャナーを開発しようとすると膨大なコストや時間がかかるというのも大きな理由だが、「既製品を使える仕組みにしておけば、システム導入後に設備はもちろん、現場のナレッジをそのまま生かせる。不具合があっても、手厚いサポートをしているメーカーの保守サービスが使えるというのも大きい」(吹野氏)という。

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