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EVのモデリングを「ミニ四駆」で考える〜構成要素の原理を捉えてシンプルに表現〜1Dモデリングの勘所(9)(2/4 ページ)

「1Dモデリング」に関する連載。今回(連載第9回)と次回の2回にわたって、タミヤの「ミニ四駆」を題材に電気自動車(EV)のモデリングを考える。まず、ミニ四駆の仕組みを説明した後、その機能と構造について考える。続いて、ミニ四駆の構成要素であるバッテリー、モーター、ギア、走行系に関してその原理を理解し、定式化を行う。

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モーターのモデリング

 連載第3回図3で、電磁気学における理論と理論式について説明した。モーターの原理はこの理論に基づいている。図5にモーターの原理を示す(参考文献[1])。

モーターの原理
図5 モーターの原理[クリックで拡大]

 磁場下にある電線に電流が流れると、電線にはトルクが発生する。このトルクと電流は比例し、この比例定数KTを「トルク定数」という。一方、同様に磁場下で電線が角速度ωで回転すると、電磁誘導により起電力Vが発生する。また、起電力と角速度は比例し、この比例定数KEを「起電力係数」という。ここに、相反定理により、

式3
式3

が成立する。

 一方、図6に示すように、モーターの巻き線抵抗をRM、インダクタンスをL、回転起電力をVemf(emf:electro motive force)、電流をIとすると、モーター電圧は式4で表現できる。

モーターのモデリング
図6 モーターのモデリング[クリックで拡大]
式4
式4

 ここで、定常状態(一定電流)を考えると、

式5
式5

となり、この4つの式からモーター回転数ωMは、

式6
式6

となる。この関係式を縦軸にモーター回転数ωM、横軸にモーターが発生するトルクTMをとって図示すると、図7となる。これより、電圧VBを調整することにより回転数を制御できることが分かる。また、回転数とトルクは反比例関係にあり、かつ回転数とトルクを乗じたものがパワーであるため、最大パワーを発生できる回転数とトルクも式6から予測できる。

モーターの特性
図7 モーターの特性[クリックで拡大]

参考文献:

  • [1]足立修一|電気自動車の制御システム 電池・モーター・エコ技術 第2章/東京電機大学出版局(2009)

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