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製造業の品質保証強化に向けた4つのステップトヨタ式TQM×IoTによる品質保証強化(1)(3/3 ページ)

高い品質を特徴としてきたはずの国内製造業だが、近年は品質不正や重大インシデントなどの発生が後を絶たない。本連載は、品質管理の枠組みであるトヨタ式TQMと、製造現場での活用が期待されるIoT技術を組み合わせた、DX時代の品質保証強化を狙いとしている。第1回は、その基礎となる「品質保証強化の4つのステップ」について紹介する。

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4.解決の方向性

 では、これらの課題解決に対して具体的にどう取り組んだらよいのでしょうか。まず、品質マネジメントの体系として「トヨタ式TQMの体系と管理上のポイント」を理解することが重要と考えています。

 これは、「トップダウンによる方針管理」と「ボトムアップによる日常管理(QCサークル)」の両輪で成り立ちます。その考え方を理解することによって、組織的な品質強化につなげられるのです。

 次に、製品開発(現行品、新製品)における管理のポイントとしては、QFD、故障モード影響解析(FMEA)、関数データ解析(FDA)、QC工程表の流れの効率化を図ることが重要です。これらにより製品開発プロセスの最適化が図れます。

 その後の生産段階では、各製造工程の品質管理におけるリアルタイム解析と多角解析強化が求められます。そして、仕入先から製造工程を経て顧客までをつなげたサプライチェーンのトレーサビリティーの仕組みや、総合的設備管理(TPM:Total Productive Maintenance)との連携も品質強化のポイントとなります。

 これからの時代、業務全般に関わるESGの要求事項に適合していくため、組織全般における業務の再設計が求められていますし、業務の効率化や迅速化、精度向上といった業務変革に対して、IoTやAI、デジタルツインなどの最新技術の活用が必須となっています。

5.連載の流れ

 これらの解決の方向性に対して、次回以降は次のようなテーマを設定して解説していきます(図3)。

  1. トヨタ式TQMの体系と管理のポイント
  2. 製品開発(現行品、新製品)における管理のポイント。
  3. サプライチェーンにおける管理のポイント
  4. 品質保証における管理のポイント
  5. TQM×IoTにおける想定効果とまとめ
図3
図3 本連載の今後のテーマ

筆者紹介

株式会社アムイ 代表取締役
山田 浩貢(やまだ ひろつぐ)

NTTデータ東海にて1990年代前半より製造業における生産管理パッケージシステムの企画開発・ユーザー適用および大手自動車部品メーカーを中心とした生産系業務改革、

原価企画・原価管理システム構築のプロジェクトマネージメントに従事。2013年に株式会社アムイを設立し大手から中堅中小製造業の業務改革、業務改善に伴うIT推進コンサルティングを手掛けている。「現場目線でのものづくり強化と経営効率向上にITを生かす」活動を展開中。


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