グルーヴノーツと九州大学が提携、量子コンピュータを半導体産業に応用:量子コンピュータ
グルーヴノーツは2022年6月21日、量子コンピュータの半導体産業への応用や人材育成などに向けて、九州大学とMOUを締結したことを発表した。半導体産業が抱える課題解決に量子コンピュータを活用し、半導体製造工程の最適化や次世代CPS(サイバーフィジカルシステム)の開発、導入を目指す。
グルーヴノーツは2022年6月21日、量子コンピュータの半導体産業への応用や人材育成などに向けて、九州大学とMOU(覚書)を締結したことを発表した。半導体産業が抱える課題解決に量子コンピュータを活用し、半導体製造工程の最適化や次世代CPS(サイバーフィジカルシステム)の開発、導入を目指す。
量子コンピュータは物理法則である量子力学の原理を応用して計算を行い、従来型コンピュータをはるかに凌ぐ処理速度を発揮するとされる。組み合わせ最適化に特化したアニーリング方式と、より広範な用途への活用が見込まれるゲート方式に大別され、福岡県に本社を置くグルーヴノーツは2019年からアニーリング方式の量子コンピュータなどを用いたクラウドサービスを提供し、これまでに自動車の生産ラインの最適化などに取り組んできた。
九州には半導体のデバイスや材料、製造装置の大手メーカーが集積し、九州の半導体生産額は全国のおよそ4割を占めている。2024年には台湾のTSMCが新工場を稼働させる。九州大学は九州で唯一半導体用クリーンルームを2カ所所有するなど、半導体関連教育設備が充実しており、企業や教育機関、行政機関などで構成される2022年発足の「九州半導体人材育成等コンソーシアム」にも参画している。
また、九州大学は産学協同の研究基盤「綺羅(KILA)コンソーシアム」を設立し、AI解析などを用いてデジタル上でSi薄膜トランジスタの品質推定を行い、リードタイムを9割削減するなど半導体製造プロセスの改善に力を注いできた。
グルーヴノーツ 代表取締役社長の最首英裕氏は「今、世界は非常に複雑化している。時代の変化に対応しようとするほど、問題はより複雑化する。そのような時代においては、サイバー空間上に現実世界を再現し、シミュレーションをしながら進めていく必要がある。九州大学との連携によってそれらを社会に実装し、根付かせていきたい」と語る。
九州大学大学院 システム情報科学研究院 光・量子プロセス研究開発センター教授の池上浩氏は「2022年度中に活用事例を示したい。現在、企業と情報交換してニーズを集めている。そして5年後をめどにアニーリング方式の半導体工場適用に関して大きな成果を出し、ゲート方式の実用化が見込まれる10年後には同方式の半導体工場適用でも成果を出したい」と話す。
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